『幽談/京極夏彦』(メディアファクトリー)
幽霊解体新書みたいな感じです。
「幽談」というタイトルにも関わらず、幽霊は出てこない…と書いてしまったら、ネタバレですね。
ごめんなさい。
でも、京極ファンなら、その展開は容易に読めるとは思います。
京極さんは、妖怪や幽霊やあやしいものを素材にお話しを数多く書いておられますが、実は、本当に幽霊や妖怪が出てくる話しはないと言っても過言でもないと思うのです。
京極堂シリーズに出てくる、有名なキメセリフ、「不思議なものなど何もないのだよ」に、それは象徴されていると思います。
この本には、
「手首を拾う」
「ともだち」
「下の人」
「成人」
「逃げよう」
「十万年」
「知らないこと」
「こわいもの」
の、8つの短編が収録されています。
わたしは、中でも、「下の人」がこわかった。
ベッドに寝転んでこれを読んでいたので、余計にぞぞぞぞぞ~っと、きました。
性格に言うと、「こわい」というのではなく、「不快感」というのが正しい感覚かもしれません。
主人公の女性の、淡々とした「不快感」への反応がとても素晴らしい。
人は、日常に相容れないものを見つけた時、実は、淡々とこの女性のような対応するのではないでしょうか。
「逃げよう」
も、かなりおもしろい作品でした。
小学生の少年が、ひたすら、「何か」から逃げ続ける話しなのですが、その何か、と、少年の、果てしなく相容れないのに、果てしなく腐れ縁のような感じが、とても不幸な漫才のようで、薄気味悪いのに、なぜか、笑ってしまうような、変な感覚がありました。
京極さんの作品は、こういう妙に一人ボケツッコミのような変なユーモアがあるなぁと思うのでした。
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