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2008年10月27日 (月)

『どろぼうだっそうだいさくせん!/穂高順也/西村敏雄』(偕成社)

西村敏雄さんの絵本、毎回、笑っちゃいます。

ユーモラスな絵とストーリー展開に、おもわず心がくすくすっときます。

牢屋に入れられている泥棒3人組が、何とかかんとか脱獄する話しなんですけど、泥棒たちや看守のオマヌケっぷりがすごい!
そのおマヌケたるや、シュールすぎて哲学的ですらあります…。

キュートでおマヌケでにくめない感じ満載♪

泥棒たちの変わり果てた姿を見つめる、周囲の村人たちの表情がなんともいえず吹き出してしまいます。

読みきかせをしたら、5歳児くらいの子たちのにやにや笑いが止まりませんでした。
展開をけっこう予想しながら聞いている様子。

このシュールさを理解しているのか!と、感心。
やっぱり、子どもはあなどれません。

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2008年10月16日 (木)

『風の生まれるかなたに/茂市久美子』(くもん出版)

茂市久美子さんの作品のイメージは、あったかくて、動物や自然がかわいくて…と、思っていたので、この作品にちょっとびっくりしました。

主人公の「かい」という名前の少年が、ヒマラヤ登山中に遭難した兄を探す旅に出るという話し。

かいの年の離れた兄、恵一は、山が大好きで、いつかヒマラヤ登頂を果たしたいと言っていた。
そして、いつか、かいも一緒に行くんだと言ってくれていた。
しかし、その兄は遭難してしまう。
哀しむ、かいの元に、ある雪の振る夜、ヤクという動物が迎えにやって来て…。

ファンタジーだけれど、きらびやかに魔法が出てくるファンタジー作品ではない。

兄の死、友人の死、かいの心の成長、シビアなヒマラヤでの生活と、自然の雄大さ…読み始めると、ぐいぐい引き込まれていく。

登場人物の誰もが、なぜ、そこで暮らしているのか、なぜ、そういう生き方をしているのか…が、読むうちに胸にすとんと落ちてくる。
こういう風に生きたい、こういう風に暮らしたい…人はいろんな夢や想いを持って生きているのだろうけれど、でも、決して思い通りになるとは限らないのが現実。
けれど、思い通りにならないからといって、それがいけないというわけでもない。
その思い通りにならない中でも精一杯に生きることが生きるということなのかもしれない。
夢を小さく持てとか、現状で満足しろとかそういう意味ではなく。

かい少年も、兄、恵一の死を受け入れられないまま生きていたが、やがて、兄がどう生き、どう死んでいったのか分かるようになっていくうちに、その死を受け入れられたのだろう。

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2008年10月14日 (火)

『忍剣花百姫伝5 紅の宿命/越水利江子』(ポプラ社)

花百姫伝シリーズ第5巻。

今巻では、美女郎と霧矢の秘密が明らかに…!

共に人気の登場人物なので、そのバックボーンが気になっている読者も多かったのではという2人。
その2人の秘密が一気に明らかになる贅沢な巻になっています。

氷のように冷たい心を持っているかと思われていた美女郎の出生の秘密が明らかになると同時に、彼の心の闇の深さを知る事となります。
悪役は生まれたときから悪役ではないのかもしれません。
単純明快な、勧善懲悪ではないからこその、人の心の弱さ切なさが伝わってきます。

また、花百姫を守り抜くと心に決めている忍びの者、霧矢も、花百姫の母、深雪姫との長い長い心の確執と別れを告げる時が来たのかもしれません。
4巻までは、深雪の方、割とひかえめな役どころというか、あくまでも、「ヒロインの母」というポジションでしたが、5巻では意外なところで大活躍していて、ひそかに深雪の方が好きなわたしは「やった!」という感じでした。

もしも、深雪の方が、姫君として生まれてこなければ、霧矢が忍びの者でなければ、あるいは結ばれた2人なのかもしれませんが、そうすると、花百姫は生まれてないわけですし。
そうなると、この壮大な歴史は始まらないわけですし。
残念な事なのか、幸せな事なのか、きっと、深雪姫と霧矢は花百姫あってこその2人だったのだろうと思いながら読んでいったのでした。

ラストで、火海姫がおもしろい事になってきていて、これまた次巻が楽しみです!
この美人だけど不器用三昧なお姫様、何かやらかしてくれそうです!

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2008年10月13日 (月)

『怪談図書館6 死者の時間へようこそ』(国土社)

怪談図書館シリーズの第6巻です。

「呪われた寝台急行」  高森千穂
「きれいになりたい」  河俣規世佳
「ぼくの後ろにだれかいる」  黒田志保子
「手招きする浴衣」  島村木綿子
「お姫さまは魔女なんだ」  八百板洋子
「闇にうかぶ緑の目」  熊谷千世子
「死者の時間へようこそ」  中澤晶子
「ひとりぼっちの幽霊」  ただのゆみこ
「母さんじゃない!」  福 明子
「黄泉の旅路からの伝言」  金治直美

の、10編です。

わたしも参加させていただいています。
どうぞ、手にとって読んで下さいませ。
怖くて楽しい怪談集だと思います。
よろしくお願いします。

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2008年10月 7日 (火)

『杉浦日向子の食・道・楽/杉浦日向子』(新潮社)

きりっとして、無駄なものが一切なく、その人の暮らしがそっと覗き見られる感じのエッセイ集。

お酒の好きな杉浦さんが、お酒とそれにまつわるエピソードをひっそりと書き綴った感じ。

押し付けがましくなく、さりとて、遠慮深すぎもせず。

粋です。

かっこいい。

杉浦さんが数年前に急遽された時は本当に残念でした。

けれど、騒ぎ立てもせず、このエッセイのように、そういうもんさとサラッとした最期のような気が勝手にしました。

大げさではないけれど、一本芯の通った女性だなぁと羨望のまなざしを送るのみ。

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2008年10月 4日 (土)

『サンドイッチサンドイッチ/小西英子』(福音館書店)

絵がみずみずしくて、ものっすごいおいしそう!

絵に描いたパンなのに、さわったらすごいふかふかしてそうに見える!

トマトもタマゴもみんなみんなおいしそうでたまりません。

そういえば、最近、おいしいサンドイッチ食べてないなぁ~って思いました。

作りたくなります。

食べたくなります。

乳幼児を対象にした絵本ですが、すっかりトリコになりました。

今度、読みきかせに使おうっと。

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2008年10月 1日 (水)

『トムは真夜中の庭で/フィリパ・ピアス』(岩波書店)

10年前に読んだ時は、もちろん、おもしろかったけれど、難しいなぁ~という印象が強かった。

今、読み返してみて、こんなにもぐいぐい惹きこまれる物語、久しぶりに読んだ!と、感動しきり。

現在に生きる少年、トムと、ヴィクトリア女王時代を生きる少女ハティが、時空を越えて、庭園の中で遊ぶ様子は、ピアスの美しい自然描写もあいまって、本当に美しい物語だ。

そして、まるで数学のように、何もかもしっかりと構成されていて隙がない。隙がないけれど、前編にあふれる作者のユーモアセンスで、物語は明るく、読み心地がとてもいい。

日向の文学だ…と、久々に感じ入る。

有名な作品なので、読まれた方も多いとは思いますが、トムとハティの心の交流が、最後の最後で、読者の心にわっと飛び込みあふれてくる瞬間は、なんともいえない感動を覚える。

誰の心の中にも、すでにおとなになった人たちの中にも、必ず、子どもの心は棲んでいるのだと思い出す瞬間。

トムの可愛らしさ、トムの前向きで明るい姿、物語には必要不可欠な少年だなぁ。

まがうことなき名作。

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