『べっぴんぢごく/岩井志麻子』(新潮社)
いや~、もう~、何っていうか、志麻子さんの本は、いつもすごいどろどろしててすごいとしか言いようがありません。
でも、この作品、たとえば、江国香織さんが書かれたら、何となく草食動物的な淡々とした恋愛小説になるような気がするし。
村上春樹さんが書かれたら、シュールかつ何だかおしゃれな恋愛小説になりそうな気もするし。
素材をどう料理するのかが、その作家の個性というのが、改めて感じられる小説なのでした。
ん?
ってゆうか、これは恋愛小説じゃないな。
全然ちがう。
何っていうのだろう~。女の一代記?
桜庭一樹さんの『紅朽葉家の~』を、どろどろした筆致で書くとこういう雰囲気になったりするのかな?
まぁ、とにかく、謎の過去を持つ、1人の絶世の美女が「存在するというだけで」周囲を不幸に巻き込んでいくという、壮絶な物語なのでした。
傾城の美女?
そんな上品な言葉では表現できません。
岩井志麻子さんの作品に出てくる美女たちは、どの人もどの人も不幸のどん底へ落ち込んでいくので、読みながら、ものっすごいネガティブな気持ちに侵食されていきます。
でも、何っていうのか、落ち込むというのではなくて、ネガティブなパワーに満ち溢れるというか…で、読み終わってから、
「いや、いかん!こんな女になってはいかん!」
と、思い直し、日向を見るために冷静になろうとする自分がいるというか、そんなパワーを感じるのでした。
ネガティブさを提示して、逆に人をポジティブにする、すごい作家なのかもしれません。
わたしは、おもしろいと思うので、たまに読みたくなる作家さんです。
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