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2009年5月25日 (月)

『あやし/宮部みゆき』(角川書店)

なにげなく立ち読んでいたら、止まらなくなってしまい、購入…。

宮部みゆきさんの本は、どれもおもしろいですね。。。

江戸を舞台にした、ホラー短編集です。

居眠り心中
影牢
布団部屋
梅の雨降る
安達家の鬼
女の首
時雨鬼
灰神楽
蜆塚

の、9編。

どれも、おもしろかったのですが、わたしは、特に、「足立家の鬼」が好きでした。

さまざまないきさつから、商家へ嫁ぐことになった、女中あがりの娘が、病で伏せている姑の世話をしながら、彼女の思い出話を聞くというもの。

天涯孤独に育った娘にしてみれば、他の人ならば、おあいそであいづちを付く程度の話しでも楽しくて仕方がない。
そんな嫁を見て、姑は、
「お前は本当に孤独に育ってきたんだねぇ」
と、つぶやく。

そして、ある日、姑の口から、不思議な「鬼」の話しを聞くことになる。


姑が若い頃、魅入られたように一緒に暮らした「鬼」がいた。
「鬼」は、恐ろしい姿はしておらず、弱々しげなやせ細った若い男の姿をしていた。
「鬼」を穢れとして扱う村人たちこそが、「鬼」だと、姑は僧侶や地主に言い、村を出る。

「鬼」は、ただ、そばにじっといるだけで、姑に縁談がわいても、特に何も言うことはなかった。
やがて、商家へ嫁ぐことになった姑に、鬼はただ一生そっとよりそっているだけだった。

しかし、姑の背後に常にいる「鬼」の姿は、見える者には見える。
だれの目にも同じに映るのではなく、ある者には、おそろしい形相のおぞましい存在として映る。
姑の夫は、鬼の気配だけは分かるようだったが、特に怖がるふしもなかった。

商い相手は、「恐ろしい鬼」を見ては取引を拒み、「恐ろしくない鬼」を見れば、そのまま商いをともにやっていってくれる。
そんなわけで、姑が嫁いだ先の店は、良い相手ばかりと商売し続ける事ができ、たいそう繁盛していった。


人の目に映る「鬼」は、自分がふと垣間見てしまう、自分の本当の姿なのかもしれない。

自分の腹が黒ければ、すべての人間が腹黒くおそろしいことをたくらむような人間に見えてしまうのではないか。

自分が真っ正直に生きていれば、周囲の人間がすべて善良な人間に見えてしまうのではないか。

どちらも危ういことだが、しかし、もし、自分がどちらかの「目」を持っているのだとすれば、後者の方がいいと思う。

人を信じられず、人を裏切り欺いて生きるよりは、人を信じて裏切られることがあっても別にいいのではないかと思ったりする。

本当の意味で、どちらが自分の心を傷つけているかを思えば。

などと、思いをめぐらせてしまうホラーでした。

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コメント

うさこちゃん、早く見たいようなでも見るのがこわいような複雑な感じですが、週末探してきますね!

宮部さんの時代小説がすきで、文庫化されてるのは全部読みました。
あやしもすごく面白かった記憶はあるのですが、ずいぶん前に読んだきりでだいぶおぼろです。帰省したら読み返してみようかな。
あやし類(とまとめていいのか?ですが)の本所深川恐怖短編集はどれも面白くて当時はなんべんも読み返しました。最後になんかこうぞっくり寒くなって、つい後ろを振り返っちゃうような感じですよね。

投稿: ありむ | 2009年5月26日 (火) 09時44分

>ありむさま

宮部さんの時代小説、実は、今回初めて読んだのです。
数年前まで、宮部さんの本は出れば読んでるくらいハマっていたのですが、しばらく遠のいていて、それで、今回、時代小説好きなので、読んでみようとふと立ち読みしていたら止まらなくなりました。

またしばらく、わたしの中で宮部ブームが始まりそうです。笑

というわけですので、本所深川恐怖短編集も未読。
ぜひ読んでみたいと思っています♪

投稿: あくび | 2009年5月26日 (火) 19時52分

そうなんですね!
宮部さんの本、私は逆で現代物は両手指で数えるほどしか読んだことないのです。好きで好きでどうしようもなくなった本と、三行読むのも辛くとうとう途中放棄した本が、ちょうど半分ずつ、笑。
うちでとっている朝刊の新聞小説、今年は宮部さんの時代物なのでとても幸せです♪

ところで小栗旬くんが出ているのでみはじめたドラマ、「スマイル」。
その役柄があまりにもこわくて、もうほとんどホラー。本当にこわいのは、やっぱり人間かもと思ってしまいます。

投稿: ありむ | 2009年5月30日 (土) 01時04分

>ありむさま

小栗くんの出ているドラマ、「スマイル」、わたしも先週見ました。。。

すごいこわい役ですよね。。。

何だかシェイクスピアで誰か悪役を演じさせたくなりました。

投稿: あくび | 2009年6月 1日 (月) 20時37分

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