2008年9月20日 (土)

五右衛門ロック

「五右衛門ロック」

劇団☆新感線

2008年8月23日(土)
in大阪厚生年金会館 12:30~

作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太・松雪泰子・森山未来・江口洋介・川平慈英・濱田マリ・橋本じゅん・高田聖子・粟根まこと・北大路欣也


久しぶりの古田新太主演新感線!

五右衛門!

ロック!


ストーリーは…詳しく書くのもめんどくさいくらいに、単純明快。

大泥棒五右衛門が釜茹でになった後、実は生きていたという設定で、異国の地へ逃亡し、そこでトンデモナイお宝を発見し、そのお宝を守っている王と激突!
最後は大団円!
みたいな感じですね。

ただ、いのうえひでのりさんの演出のド派手さは、どんなシンプルストーリーでも、ド派手にしてしまうマジックがあて、ホントにホントにかっこいい素敵なキュートなめちゃロックなステージでした。

今回は、また一段と派手な演出で、舞台両サイド上方には、バンドのためのブースまでつくってあって、両サイドからがんがんに生演奏です。

観劇するというよりは、ロックのライブに来ている雰囲気が、いつもの3倍くらいはありました。

ストーリーが単純明快なので、こころおきなくロック演奏に耳を傾けられるという感じ。

ひたすら楽しくかっこいい舞台!

わたしは、正直、立見席の人が一番楽しかったんじゃないかと思っています。

座ってるのがもったいないくらいに、立って一緒に踊りたかった。


どの役者さんたちも芸達者で、文句なしなしだし。

歌うまい、ダンスかっこいい。

特に、森山未来くんのダンス、素敵すぎでした。

でも、北大路欣也さんとの対決シーンでは、やっぱり貫禄の差歴然!

北大路さんかっこよすぎる~。

当たり前だけど、でも、その初々しさがいいのかもね。

松雪泰子さんはめちゃくちゃ美しいし。

なんだその白磁の陶器みたいなお肌はーって思いました。


まぁ、何かすごいミーハーな感想ですけど、これはそうやって観てもいい舞台かなと思います。

重いシーンもあるのですが、それは今回はふれないでおこうと思います。

久々にDVD買って手元に置いといてもいいかなと思ったステージでした。

満足。

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2007年10月20日 (土)

初生落語体験。

笑福亭三喬さんという落語家さんの独演会に行ってきました。

地元の陶芸家さんの館で開かれて、今年でもう5年目の試みだそうだ。
印刷屋さんに勤めている友人が、営業先との事で、一緒に行く事になった。
お寿司もついて4000円の入場料。
高いのか安いのかも分からないけれど、初の生落語はとにかくおもしろかったです。

芸人さんってすごいなぁ…。

演題は、「まんじゅう怖い」と、「転宅」を現代風にアレンジしてあるという感じでしょうか。
まんじゅうこわいは、最近では落語絵本なんていうものが出回っているのでオチは分かっているんですが、芸ってすごいなぁ。
じっと聞いてしまう。
特に、まんじゅうを食べるシーンは、ほんっとうに美味しそうに食べる演技をされるので、よだれ出そうになりました。
見ているだけで、こっちの口もあ~んと開いてしまいます。
本当に!

素晴らしいの一言ですね~。

噺の後は、窯元のご主人自らによってくじ引き大会。
わたしは、三喬さんの手ぬぐいがあたりました~!
やったー!
当たると思っていなかったで、驚いて、
「おう!」
と、低い声が出てしまいました。
こういうとっさの時に、
「きゃぁ!」
とかいう声の出ない女だなぁと、つくづく思ったわたしでした。笑

誘ってくれた友人に感謝。
すごく楽しいひと時でした。

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2007年6月 8日 (金)

薮原検校

2007年6月7日(木) 14:00~
in シアターBRAVA!

脚本:井上ひさし
演出:蜷川幸雄
出演:古田新太・田中裕子・壌 晴彦・段田安則・梅沢昌代・六平直政・山本龍二・松田洋治・神保共子・景山仁美・
ギター奏者:赤崎郁洋

井上ひさしさんの脚本で古田新太が出て、演出は蜷川さん。
わたしがこの舞台を観に行かないと決心する事は容易ではなく…というか、速攻行く事に決めちまった。

期待通り、いや、期待以上の素晴らしい舞台。
あまりの長セリフの多さに、ちょっと噛んだりつまる役者も何人かいたが、
「それが、何?そんな事よりももっともっと素晴らしい舞台じゃん!」
と思うばかり。

杉の市(古田新太)という盲目の男の生涯を、盲太夫(壌晴彦)が語っていくという構成。
舞台は、一面、下から上まで垂直にびっしりと汚い壊れ気味の戸板で覆われている。
戸板の破れ目や境目の隙間からは、照明の明かりがこぼれている。
舞台の隅には汚れた布団やら笠、なけなしの家財道具が転がっている。
貧しい風景だ。

開演は、ギターの生演奏で始まる。
ギターの音が三味線の音のようにも、琵琶法師の琵琶の音のようにも聴こえてくる。
舞台美術も音響も全ては盲目の主人公、杉の市を体現しているかのようだ。
観客であるわたしも、いつしか、耳をそばだて、目よりも耳の力を信用するようになってくる。
役者たちは、舞台からほとんどはける事なく、出番がない時は、舞台の隅でそれぞれの盲人を演じている。
音響も彼らの声や、茶碗や下駄を舞台に打ち付ける音で表現される。
圧巻は、杉の市が初めて日本橋にやって来た時の演出。
盲目の若者が、日本橋中に響き渡る音や声に耳を傾けた瞬間、客席のわたしたちも江戸時代にタイムスリップしたような気がする。

江戸時代、盲人がどのように差別され扱われてきたかがひしひしと伝わりつらくなる場面もある。
奥浄瑠璃を演じて旅をし、村々で食べ物を分けてもらっては暮らすような限られた職種にしかつけない時代に主人公の杉の市は生まれた。
飢饉の年は、目の見えない彼らを大量に抹殺するため、山道で彼らを誘導する綱を、目的地ではなく、わざと海に向けて結んだ村の人々の仕打ち。
記録では、350人の盲人が、寒い冬の海に落ち命を落したという。
そんな時代に生まれた杉の市は、幼い頃に父を失い、早くから奥浄瑠璃の師匠のもとに弟子に出される。
杉の市は、ずいぶんと性格のひねくれた子どもで、師匠の奥方に手を出してしまうような悪がきであったが、浄瑠璃の腕は弟子一番だったので、師匠も小金ほしさに彼を手放そうとはしない。
盲人が人並みの出世をし、検校という最高の地位を手に入れるためには、まず金が必要だったからだった。
差別されしいたげられたくなければ、金を積む。
杉の市もそういう生き方をするようになる。
金のためなら、師匠も殺す。愛人も殺す。
そして、唯一、心のよりどころであった母親をも誤って殺してしまう。

しかし、杉の市は、人をゆすり殺して得た金でとんとん拍子に出世する中で、金ではなく、学問で出世している同じ盲目の男、埴保己市(段田安則)と出会う。
保己市は、盲人が世間に認められるには、品と知性が必要だと言う。
だが、杉の市は金だと言う。それが証拠に、俺はあんたよりずっと若いがもう検校に手が届きそうだ、と。

やがて、杉の市は自分が仕えている薮原検校をも殺し、二代目薮原検校を襲名する事になる。
その前日、彼は、昔殺しそこなった愛人のお市(田中裕子)に出会う。
杉の市に惚れて尽くしてきたお市は、家を捨て、一人江戸に出てきていた。
女一人で生きていくために、彼女は身売りをし、今はかさかき(梅毒)を患って顔はタダレていた。
杉の市に再び出会え、添い遂げてもらえるのかと詰め寄るお市に、彼は短刀を振りかざす。
お市は殺され、ふと気付くと周囲には大勢の人の気配。
杉の市は、一瞬だけ、盲目の己を忘れた。そして、人前で女を刺し殺した。
「金を払うから、黙っていてくれ!金を払うから!」
と、叫ぶ杉の市の声を残して舞台は暗転する。

金を信じ、そのためには殺しも重ねて地位を手に入れてきた杉の市。
だが、その金は最後は人々には通用しなかった。
大衆の面前で吊り下げられ、死刑になる杉の市。
死刑の方法をお上に申し上げたのは、あの保己市だった。
彼は最も残酷な方法を申告し、刑を執行する前に、彼に大量のソバを食べさせるようにと指示する。
「嫌がっても無理やりにでも食べさせて下さい」
と、保己市は言う。

刑場で、杉の市の胴体が切り落とされ、首も切られた瞬間、杉の市の切られた首からは血で真っ赤に染まったソバが流れ出る。

杉の市は大悪党だったかもしれない。
多くの人を殺し、金をせしめ地位を得た。
だが、彼が盲人ではなく、差別される事なく、魚売りの可愛いせがれとして生きていたら、こうはならなかったのではないだろうか…。
かなしく切ない気持ちになる。
彼には、ただの一人として、彼を人間として扱い接してくれる人に出会わなかったのではないのか。
ただ一人、彼を愛してくれた母親すら、彼は殺すはめになった。
どんな境遇であっても、悪は悪だ。
けれど、彼をそこまで追い詰めたものの正体が何なのか、考える必要があると深く思うのでした。

ものすごくヘヴィな舞台なのだけれど、演出や役者の演技は常にコミカル。
その技術が素晴らしいと感じた。
どの役者もプロだ、かっこいいと感じた。
特に田中裕子さんの美しさと色気、そして、六平直政さんの芸達者さに感心しきり。
そして、いかついのに、どこか悲しげな杉の市を演じる古田さん、当たり役だと思った。

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2007年5月19日 (土)

「まつさをな」演劇集団キャラメルボックス

2007年5月19日(土) 14:00~
新神戸オリエンタル劇場

「まつさをな」
演劇集団キャラメルボックス
演出・脚本:真柴あずき
出演:温井麻耶・岡田達也・大内厚彦・三浦剛・坂口理恵・岡内美喜子・左東広之・畑中智行・實川貴美子・筒井俊作・小多田直樹・久保田晶子
客演・粟根まこと(劇団☆新感線)

キャラメルの新作時代劇(幕末劇)を観て参りました。
神戸日帰り強行軍。
一日の大半を長距離バスと劇場のイスの上で過ごしたのでおしり痛い!
でも、オリエンタル劇場のイスはすごくふわふわだし広いので好きです。
劇場はちょうどいい客席数と広さでわたしは好き。
大きすぎもせず小さすぎもせず。

ペリー来航より数年前の日本。
外国の戦力に負けまいとする日本。
家老の青柳徳右衛門(粟根まこと)は、海岸で防護壁普請に専念していた。防護壁といっても、表向きは他国への武力対策であるが、徳右衛門は実は開国派である。
その息子、青柳啓一郎(岡田達也)の独白から物語は始まる。
彼には美しい、きえ、という名の姉がいたのだが、1年前に気の進まぬ結婚をし亡くなっていた。
姉を忘れられていない啓一郎の表情は暗い。

しかし、評判の旅芸人の芝居小屋へ道場仲間の、静馬(大内厚夫)らと出かけたおり、目隠しをして剣術を披露する娘、千鶴(温井麻耶)を見て驚く。
死んだ姉、きえにそっくりなのだ。
静馬は実はきえと恋仲だったのだが、家老の娘きえとは身分違いのために悔し涙を飲んでいた過去があった。
2人の男の胸に複雑な思いが巡る。

やがて、死んだきえに瓜二つの千鶴の存在を知り、家老の徳右衛門は、彼女を養女に迎える事になる。
妻、満寿江(坂口理恵)が心痛のために体調が思わしくないため、元気付けようと考えての事だった。
啓一郎と千鶴は兄と妹の関係になる事に。

元気で気持ちの優しい千鶴が青柳家に来てから、家老やその妻の気持ちも元気になっていき、家には笑顔があふれるようになってきた。満寿江も千鶴を本当の娘のように可愛がった。
そして、不器用で感情表現のとぼしい啓一郎の口数も、しだいに増えるようになる。彼は、千鶴を妹以上の存在に思いはじめているのだった。

しかし、幸せだった日々も束の間、開国派の家老らが、連日何者かに襲われる事件が勃発する。
太刀筋からみて、啓一郎の通う道場の者の仕業である事が分かる。
犯人は、友の中にいるのか、啓一郎は悩む。
金で雇われたのか、それとも、父を恨む者がいるのか。

犯人がやがて、思いもしない男である事が分かった時、啓一郎や道場の仲間、そして千鶴の身にも時代の波は押し寄せてくる。

キャラメルボックスの時代劇は、何がいいと言って、どんなにつらい境遇であっても、それぞれの登場人物たちが精一杯に前向きに生きようとしている姿が描かれるから切ないのだと思う。
今回は、身分の差がそうだった。
けれど、どの登場人物たちも、それぞれの境遇で自分の満足のいくように、そして周囲の人が幸せであるように真摯に生きている姿が描かれていると思った。

静馬という男も、家老の息子である友へのすさまじい嫉妬心が彼に過ちを犯させたのかもしれない。
けれど、静馬の生き方が全て間違っているとはいえない。
彼は彼なりに一生懸命生きていたのだ。
けれど、彼は彼を愛し支えてくれていた人たちの気持ちに、少しだけ気付くのが遅かった。
切ない男だと思う。

いい舞台だったなぁと思いました。
家老の妻を演じる坂口理恵さん、相変わらずうまくて、わたしは好きです。
あと、新感線からゲスト出演されていた粟根まことさんが爽やかでした。w

開演前に、キャラメルボックスの社長さん自ら前説をされる恒例行事(?)があるのだけれど、そこで、お客さんからの疑問、「なぜキャラメルのような爽やかな劇団に、新感線の役者を客演させるのだ?」に、ウケた。
で、前説さんが、新感線を観た事のないお客さんのために、キャラメルとどこがどう違うのかを説明していましたが、
「キャラメルがTUBEなら、新感線は聖鬼魔Ⅱ。キャラメルがコブクロなら、新感線は氣志團」
と、説明していて、これまたウケました。
これを期に、キャラメルの爽やかな役者さんをぜひ新感線で客演させて下さい。
できれば、岡田達也さんで。(個人的な趣味です)

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2007年4月27日 (金)

TOMMY

2007年4月23日(月)
シアタードラマシティ

演出・いのうえひでのり
出演・中川晃教・ROLLY・高岡早紀他
音楽・The Who

ロックオペラを観て来ました。
いのうえひでのりさんの演出が好きという事もあるし、中川晃教くんの歌声がめちゃくちゃ上手なので、観る価値あり!と、思い、チケットを取りました。

正直、期待していたほどは感動しなかったのでした。
ROLLYのロックはかっこいいなぁ!とか、やっぱり中川くんは歌うまいなぁ!かわいいなぁ!なんていう事では満足したのですが、作品自体は…そんなに共感できなかったというか…けっこうつらいストーリーだし、ハッピーエンドとは思えないし、まぁ、60年代のアメリカの話しなので、戦争も出て来るし、時代に翻弄された人々の姿もつらいし…と、総じて素材は暗い。
いのうえ演出でポップで明るくはしてあるけれど、う~むむむ、それも少々無理が…と、思ったり。

主人公のトミー少年が叔父に性的虐待を受けたりとか、いとこにいじめられたりするシーンは、ふざけた演出にはしてあっても、やっぱり相当かわいそうなシーンである。

何となく、中川くんの純粋そうな容姿と、歌声に救われたという気がしました。白い衣装と、青空の背景がとてもよく似合っていました。

遠出をして観る舞台は、やっぱりどちらかといえば明日の生きる気力が湧いてくるようなお話しがいいなぁ。

正直、カーテンコールのローリーのライブの方が数倍楽しかったのでした…。
あ、そうだ。
脇役の若者たちの中に、一人、きらめく才能を感じる若者がいました。
きっと、これから先、いろいろな舞台に出てくる予感がしました。頑張れ!!!

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2006年9月10日 (日)

「The old CLOCK」 PEOPEL PURPLE

2006年9月9日(土) 14:00~
in 神戸アートビレッジセンター

作・演出 宇田学
出演 坂口理恵(演劇集団キャラメルボックス)・宇田学・植村好宏・森下仁佐恵ほか…

この劇団の舞台を観るのは2度目。
友人の弟さんがここで照明をされていると知って観に行ったのが1度目。
もう少しでプロになれそう!というパワーと希望にたっぷりあふれた素敵な劇団で、これは次の公演も観に行かなければならない!と、思っていたのでした。
客演にプロの女優さんが出演されているし、各方面で期待されている感じがします。

会場に着くと、お客さんがゾクゾクと道を歩いているのが見える。
女性客が多い。
うむ、人気は上々である。
劇場に行くたびに思うのだけれど、女性客が多いなぁどこも。
男性よ!街へ出よ!芝居を観よ!笑

前回の舞台が近未来SFアクションものだったのに、今回はハートウォームなお話し。
あの有名な歌、「大きなのっぽの古時計」を下敷きにして、宇田学さんがまったく新しい解釈で舞台に上げた。
素晴らしいとしかいいようがない。
前の舞台でも思ったが、この人には、観客に伝えたいものが明確にある。
まだ20代後半の若い演劇人なのだが、このゆるぎなさはただ者ではない気配満々である。
根底に流れる人間への愛情と、命の大切さをうったえる強いパワーがある。
それに、この宇田という人、作・演出だけでなく、主役級の役までこなしてしまっている。

今回、この舞台をまだ観た事がないというお2人をお誘いした。
観終わった後、お1人が、
「うちら負けてるで!がんばらな!」
と、おっしゃった。
そうである!がんばらな!です。

お話しは、約150年以上も前のイギリスが舞台だ。
「ジョージ」という名前のホテルで繰り広げられる、一つの家族のお話し。
創立者の息子リチャード(植村好宏)が生まれた日、愛する息子のために父親がプレゼントしたのが、大きな柱時計。
リチャードは生まれた時から、時計と共に生きてきた。
これは、歌の通りの展開。
ただ、リチャードは人には見えないものを見る事のできる子どもだった。
ランプの妖精(七条孝夫)やタンスの妖精(鎌田亜由美)、ソファーの妖精(駒井美輪)やピアノの妖精(蓮森美どり)、そして、柱時計の妖精(森下仁佐恵)とは、一番の仲良し。
はじめ、妖精たちの衣装がディズニーアニメばりにきらびやかなのでかなりびびったのだが、話しが進むに連れて、ちゃんと照明とも兼ね合って美しく見える事が分かって安心した。

妖精たちは、不老不死。
けれど、人間には生と死がある。
時を刻む時計と、永遠の命ではない一人の男との交流が実に効果的に演出されていた。
途中から、わたしは涙が止まらなかった。
会場のあちこちでも鼻をすする音がしてくる。
後半はずっと泣きっ放しで化粧はほとんど落ち、ハンカチはぐっしょり。
舞台を観てこんなに泣いたのははじめてである。

人は死ぬ。
どんなに愛する人でも、家族でもいつかは死ぬ。
それは避けられない事実。
その日を、どう迎えるのか、それを考えさせられるものだった。
観ながら、自分の家族の事を思い出してまた涙が止まらなくなるわたしなのであった。笑

とはいえ、決してお涙頂戴な舞台ではないのだ。
そこが見事。
けっしてじめじめしていない、笑いもたくさん。でも号泣なのだ。
前回も思ったのだが、無駄なキャスティングが誰一人としていない。
はっきり言って、本編とは関係ないイロモノキャラも何人かいるし、まだまだ演技の未熟な役者もいる。
でも、彼らがいるおかげでよけいに本編が輝いて見えるのだ。
そこがすごい。
今回は、前回よりもチケット代が1000円アップしていたのだが、それでも安い安い!と、思ってしまう。
しかもわたしは遠くから劇場へ行くので、往復の交通費の方がチケット代より高いのだ。
日帰り強行軍なのだ。
それでも観て良かったと満足できたのだ。
本当にオススメ劇団。
(注:別に回し者ではありません)

100年ほど前の話しが、リチャード亡き後のホテルに訪れた1人の作曲家(宇田学)と、主亡き後に、1人でホテルを守り続けている老婆(坂口理恵)という2人の狂言回しによって語られていくのだが、2人のシーンと妖精たちの出てくる幻想的なシーンとのメリハリがとても良かった。
坂口理恵さんは、さすがベテラン女優。
観客の気持ちをスッと舞台に溶け込ませてしまう。
観客が安心する瞬間が、客席にいてもふわりと分かる。
すごい。
この老婆の過去もどんどん語られていき、最後には作曲家からの素敵なプレゼントまである。
狂言回しだった老婆が、スッと舞台の真ん中に立つ瞬間にはゾクリときた。
美しかった。

誰もが主役で、悪人が1人も登場しない。
でも、それが全く鼻につかない。
全然くどくない。
誰もがマネできる方法ではないけれど、この劇団はそういう方法論でいいのだと思う。

わたしは、ソファーの妖精役の駒井美輪さんという役者にしばしば目を奪われた。
地味な顔立ちだし、小柄だし、そんなに目立つような役者だとは思えないのだけれど、動きがとてもきれいなのだった。ソファーの妖精、うん、納得。

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2006年9月 4日 (月)

ワークショップというものに初めて参加した。

今日は、演劇集団キャラメルボックスの役者、岡田達也さんの演劇ワークショップに行って来ました。

ワークショップでの自分のへぼさに、ちょいへこみ気味でしたが、自分の力量を客観的に知る事ができて、逆に楽しくもありました。
演劇している人は、一度はナマの役者さんにへこましてもらったほうがいいと思われます。

これ、マジで。

岡田達也さんが強調してらしたポイントは、
舞台上で、共演者や観客に丁寧に伝える事の大切さや、それを表現できる身体能力を獲得せねばならぬという事。
視野を広く持つ事や、セリフを言わない間の自分の役の感情の動きを丁寧に追う…等など、どれも大切な事ばかりなんだけれど、必死になるとボーっとなります!
わたしなんか、一個セリフ忘れてボーっと人のセリフを聞いていました。笑

別に演劇を生業にしていなくても、人として大切な事を改めて思い出すような、そんなワークショップでした。
何はともあれ、プロに接する機会というのは貴重です。
わたしは、普段、プレアデスで作家さんたちの貴重な時間を頂いているんだなぁと、改めて改めて感じました。

しかし…3時間半という時間でしたが、かなりしんどいです。
楽しいんだけれど、しんどい。
キャラメルボックスの役者さんたちは、これを毎日5時間するそうです。
ヘビーな話しですが…という前置きで、
「この仕事、99.9%まで苦しい事だらけです」
って、おっしゃっていました。
でも、この人が、それでもこの仕事をやり続ける理由って、何だろう…と、わたしは思いました。
業といえば、それまでかもしれませんが、それでも何か魅力がある世界なのでしょう。

本当にしんどいぞ、という事は肌身で感じました。
マジでしんどいねんもん。
えっと、悪いけど、どんなに仕事が苦しくてもしんどくても、1日でこんなにしんどい日はありません。
どんなに理不尽な残業をさせられても、休みがなくなって、ツボーネ様にいびられようとも、こんなにしんどくはありません。
普通にサラリーマンをしている方が絶対に楽です。
どんな仕事も、しんどいにきまっていますが、これはハンパではありません。
「クリエイティブなお仕事は、しんどい」これは確かだなぁ…。
身近な若者が、
「役者になりたい」
とか言い出したら、とりあえず、止めるな。笑
それが優しさだ。笑

始まる前までは、最初は好きな役者さんに演技指導とかされたら、もう舞い上がって大変かも、わたし!とか思っていましたが、

もう、そんなの全然かまっていられないくらいに必死でした。

岡田さんは、爽やかにスパルタでしたす。
まず、最初に一時間半くらい腹筋背筋ストレッチとかするんですが、どれもほぼ×100回ずつ。

笑顔で、岡田さん、
「はい!がんばれ!キャラメルでは、これの3倍は毎日やります!はい!がんばれ!」
ですってよ。
ウケました。
いや、笑ってる場合じゃないんですよね、足が笑いそうでしたから、ホント。
腹筋の最後の方は、ほとんど動けない感じでした。
多分、芋虫がもぞもぞぞしている感じでしょうな、客観的に見たら。
普通にサラリーマンしていて、毎日300回腹筋背筋を鍛えますか?
鍛えませんね。はい。

とりあえず、筋肉痛に負けず、明日…あさってから(?)、腹筋背筋を日課にします。
わたしは、体は柔らかい方だと勝手に思っていましたが、プロはそんなもんじゃありません。
ヨガです、あれは。
柔軟体操じゃない。

それにしても、岡田達也さん、改めてプロの役者さんなんだなと、感心しきり。
プロの方に言う事ではないのですが…普段、観客としてキャラメルボックスの舞台を楽しく観ている時には、それを当たり前と思って見ていたんだけれど、身体能力も表現力も普段の立ち居振る舞いも声も表情も、何もかも当然のようですが想像以上に全然違う。
その仕事をするための機能を、きちんと自分で開発しているという事がひしひしと伝わってきました。
今までの培ってきた役者のパワーのようなものを感じました。
だから、岡田さんいう本物に出会えた事だけでも、とても良かったと思ったのです。

ブランクがありすぎで、若い皆様の足手まといになっていなければ…と、思いましたが、
参加して、いろんな人とコミュニケーションがとれて楽しかった!
やっぱり、演劇はコミュニケーションだなぁ。
若い参加者さんの中には、それがまだまだ分かってない感じの方はたくさんいらっしゃって、それがちょっと残念でした。
分かってるけど、今はまだできないから頑張る、と。
意味が分かってないは、全然違うからね。
本当は、もっともっとコミュニケーションをすれば、みんなでやったお芝居も、もっとお互いを分かり合えて演技できたかもしれないと、少し残念でした。
でも、「人に見せられるもの」を創っていく事の限りのなさを感じる事ができてすごく楽しかった。
妥協はしようと思えばどこまでも妥協できる。
妥協しないで、本当にいいものを創ろうとすれば限りはとてつもなくない。
でも、楽しい。

ワークショップに参加するのは、すごく意義のある事だと思った。
素人のわたしでさえ、そう思うのだから、プロの方々でも野田さんのWSなんかが人気あるのもよーく分かった。
少しでも、自分の力量を上げ、視野を広く持ちたいと思うのは当然だと思った。

すごく勉強になった。
でも、疲れた。
帰りに、ミーハーに握手してくだーい!なんて言おうとか思っていたけれど、もうそんな事どうでもよくなっていたくらい疲れました。
まさに、ぐったり。
でも、書くパワーはもらいました。
感謝!

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2006年8月28日 (月)

コンドルズ!ハイ!

コンドルズ日本縦断黄金郷ツアー2006
ELDORADO~New Best of Condors~
大阪大決戦

8月26日(土)
松下IMPホール 14:00~

構成・映像・振付:近藤良平
出演:コンドルズ

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翌日にプレアデス合評会を控えた身ではあるにも関わらず、一度ナマで見てみたかったコンドルズをついに見てしまう。

男だけの学ランダンサーズ集団。
男子高校学園祭ノリのようなおバカで清々しさを感じたダンスカンパニー。
ただし、みなさんおっさんです。
20代は1人か2人くらいしかいないのでは…?
それもまたグーです。
グーすぎます。

リーダーの近藤良平さんは、情熱大陸やNHKの番組でちょこちょこ顔を出されている人なので、ご存知の方もおられる事でしょう。
この人が、かなりカリスマ性のある感じのダンサーで、この人があってこそのコンドルズなのだなぁと思う。
メンバーさんたちの一所懸命踊っています!楽しいです!という感じも清々しくていい。

ダンスの合間に演じられる、ゆるゆるでおバカなコントも、すごくシュールでいい。
ツボにハマるとたまらん感じである。
そのくせ、ダンスになるとかっこいいので、これまたたまらん感じである。
日記のカテゴリーを「演劇」にしたのだけれど、間違いではありません。
限りなく演劇的なダンス集団だと感じたのです。

キャリアは10年くらいになるんでしょうか…?
よくは知らないのですが、まだまだまだまだすごい可能性を感じました。いろんな表現方法をまだまだ生み出しそうでドキドキします。
物を創るという事の楽しい面を、すごく思い出させてもらった!
良かった!
クセになります。

一度見たら満足するかなぁと、思っていたのだけれど、わたしはまた行きます。
一人でも行きます。笑
おもしろすぎる。

藤田善宏さんというダンサーが上手くて、しばしわたしは釘付けに。
ダンスの時はすごくかっこいいのに、コントの時は、人一倍はじけていてウケました。
いろんな意味で素晴らしい身体能力だ!と、思うのでした。

公演終了後、物販でメンバーの石淵聡さんとオクダサトシさんと藤田善宏さんがスタッフに混じって販売しているのを発見したので、(藤田さんと)握手をしようと人並みを掻き分けたのだが、藤田さんがガチャガチャマシーンを直しに行ってしまったので、断念。
ちぇ。
ガチャガチャマシーンでは、コンドルズのカンバッチを売ってたようだ。
汗だくで直している姿に、さすがに握手をしてとは言えず、無念のまま会場を後にする。

そんな手作り感満載で、楽しかった。
メンバーの皆さんもプロのダンサーではなく、普段は他のお仕事をしている人も多いみたい。
近藤良平さんだけがプロなのかな?
これまたよく知らない事ばかりですみません。
そのスタンスが、このカンパニーのゆるさ加減にいい作用を及ぼしているのかな?とも、思う。

これですごくお金かかってる演出で、すごくクールでかっこいいダンスを延々と見せられてもなぁ…と、思ったので。この変なコントを交えてのゆるさがいいんだと絶対に思う。

欲を言えば、観客が想像してなかったほどおとなしかった事。
わたしは、もっとスタンディングで客も一緒に踊る勢いだと思っていたし、そうしようと勝手に思ってジーンズ参戦したのに。笑
いつか、最前列とかの席が取れたら踊ってやる!
スタンディングしてやる!
だって、その方が楽しそうやで~みんな~!

写真は、グッズのTシャツを着たおいらと、友人のワタナベノリルダちゃん。
背中にコンドルズと書いてあるのだ。w
どちらがおいらかは内緒。
いろんなデザインがあったにもかかわらず、たまたま同じデザインを買ってしまいペアルック状態。
なんじゃそりゃー。
前からのデザインも載せたいのだけれど、さすがに顔写真を載せるわけにはいかないのでやめまーす。

さ、明日は翌日の合評会の感想です。
おやすみなさい。

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2006年8月13日 (日)

「リチャード三世」 子どものためのシェイクスピア

子どものためのシェイクスピカンパニーの舞台を観に行ってきました。

2006年8月12日(土)
米子市文化ホール
18:00~

席はJ列の2番とかなり前の方。花道に近いので、演出上、役者さんたちが通路を通る演技の時も、近くでバッチリ見られて良かった。
改めて思うけれど、近くで見る役者さんって、何だかアスリートっぽい感じがする。
雰囲気というのか肉体というのか、が。
プロならではのオーラかなぁ。
バッキンガム侯役の彩乃木さんはスラリとしていて、見栄えがよくかっこよかったのでした。

開演前のお楽しみという感じで、代表の彩乃木さんをはじめとして、キャストの方々がステージ上で槇原紀之の曲を歌う(口パク。笑)。
このナンバーは日替わりなのかなぁ?

***

王の座につきたいリチャードは、舌先三寸で本心は隠し、きらびやかな嘘で、次々と身内や友人や部下を死に追いやっていく。王位につくためなら、先王の妃も手玉に取り、必要がなくなれば殺す。協力してくれたバッキンガム侯をもあっさりと死に追いやる。
マジで悪い奴やわぁ~って、感じ。
隣に座っていたご婦人のグループが、15分間休憩の時に、
「正直者がバカを見るって感じねぇ。最後に罰が当たらなきゃ腹の虫がおさまらないわ」
と、話していた。
もしかして、シェイクスピアおじさんが生きていた時代も、こんな風にお客さんたちは話して、ラストシーンにすっきりして帰路についたのだろうか。

この舞台で、何が一番良かったかというと、あの毎度お馴染みの狂言まわし的な役割の人形が、リチャードの醜い左腕であるという事だと思った。
観ているうちに、リチャードが人形に操られているのか、人形がリチャードに操られているのか分からなくなってきてドキドキする。
何となくリチャードの左腕が、「人面疽」や「寄生獣」のようなものに見えてくる。
あの左腕の人形、人々に見えているのか見えていないのか…その解釈でも、ずいぶんとドキドキ感が違ってくるような気がする。

リチャードが一人殺すたびに、舞台上に星が一つ増える。
それに気付いたのは実は途中からだったのでした…。
今回は演劇というものを小学生の時の体育館で観た芸術鑑賞会以来初めて観るという友人と行ったのだが、ほぼ人生初の生舞台をかなり楽しんでいたようで良かったと思った。
星が増えると気付いたのがその友人だったのだが、改めて観劇初心者にも楽しくシェイクスピアの世界を魅せる事のできるカンパニーに感心しきり。
友人は本当におもしろかったようで、また行きたいとしきりに言っていた。

しかし、リチャードが倒された後、空の星が満天に輝いていて一見きれいなのに、これはもしかして、これからも起こり続ける殺戮の死の光なのかもしれない…と、思うと、人間の愚かで恐ろしい行為を思い知るような気がしたのでした。

やっぱ、シェイクスピアってすごいかも!
子どもの時にこんな風に普遍的な作品に触れる機会がある子どもたちは幸せだなぁと思う。
わたしはおとなになってから、ほんのここ数年でやっとシェイクスピア戯曲のおもしろさが分かってきたんだけれど、子どもの時にこんな舞台を観るチャンスが一度でもあればまた変わっていただろうなぁと思う。
自分の子どもたちにも観せたいと思った。(いないけど。笑)

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2006年7月 2日 (日)

劇団☆新感線 「メタルマクベス」

7月1日(土) 18:00~
大阪厚生年金会館大ホール

原作:W・シェイクスピア(松岡和子翻訳版「マクベス」より)
脚色:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
出演:内野聖陽・松たか子・森山未来・北村有起哉・橋本じゅん・高田聖子・粟根まこと・上条恒彦 他豪華キャスト

「メタルマクベス」というタイトルが発表されてから、もう、なに!?「メタル」で、「マクベス」なら、もう、なんかもう観るしかないじゃん!と、わたくしの中のロック魂に火を点けられてから早数ヶ月が経ち、昨日、ついにその夢を果たしたのでした。
「メタル」
で、
「マクベス」

予想以上に、異常におもしろかったDEATH!

新感線はすごい。
観るたびに何もかもがグレードアップしていく。
観客を飽きさせる事をしない。
中途半端な事はしない。
かっこよすぎる~。

何しろ、シェイクスピアの悲劇のどこが悲劇なんだろう?と、いつも謎で、何で泣くわけ客?
むしろ、わたしは笑えるんですが…と、己の感受性の乏しさに驚く今までの過去にさようならです。
この「マクベス」は、ウルッときました。
「メタル」で「マクベス」なのに、泣ける…すごい…。

魔女の予言に翻弄され、誠実で勇敢で賢い誰もが尊敬する男マクベスが、欲深い妻の囁きに耳を傾け、己の内に眠る欲望を呼び覚まし、王位を手に入れるために、王を殺し、親友を殺し、部下の家族を女子どもまで殺しさり、王の息子や親友の息子にまで手を下そうとする。
そして、多くの者を殺したが己の罪深さに耐え切れず、やがて妻もろとも滅びていく血なまぐさい話しである。
正直、現代人であるわたしには「王位?別に興味ないし。魔女の予言?バカバカしい。何でそんなもんを信じて王を殺したりするわけ?」なんて思ってしまったりしてたわけ。
で、その主人公のあまりにもの悲劇のヒーローっぷりすぎるナルシストっぷりを笑っていたのです。
滅びるも栄えるも全て己のせいじゃん。
何で魔女の予言にすがるかねぇとか思って。

でも、今回、すごく分かった。
シェイクスピアの主人公たちは、人としてとても弱く小さく寂しい人たちなのね。
そして、その弱々しく頼りない姿は、ありきたりの表現だけれど、現代人のわたしたち若者になんてそっくりなんだろう…だから、わたしはこのお芝居に共感できたのかもと思った。
内野聖陽さんが演じるマクベスは、前半はナルシストの権化のような男で、
彼の歌う歌「きれいは汚い、ただしオレ以外」は、その象徴の歌。
原作では、欲深い悪女として読み取れてしまうマクベス夫人(松たか子)とは、かなりのラブラブバカップルぶりを発揮している。
そして、後半は舞台の上からでも地の底からメラメラと沸きあがるようなすごい演技で、破滅に向かうマクベスを演じていた。内野さんもすごい役者だなぁと思った。オーラが見えるなぁ。

マクベス夫人は、コギャルなんだな、きっと。
王様の妻になって、お城にすんでブランド品やアクセサリーがたくさんほしかったんだな、きっと。
セレブになりたかったんだな、きっと。
でも、結局は小さな弱い人間が果てしもない欲望を抱えたおかげで、一番の心のより所であったお互い夫婦の愛情を失ってしまう。いつも一緒にいたかった2人は、同じ罪を抱えたせいで互いの目の中におびえた自分の姿を映してしまったんだな。
己の醜さをお互いの瞳に映してしまうので一緒にいる事が耐え切れなくなっていくんだな、きっと。
シェイクスピア版では、犯した罪の深さに発狂して死ぬマクベス夫人だけれど、このクドカン版では、あくまでも愛する夫の愛情を失った女の悲しみで発狂して自殺するマクベス夫人なのである。
分かりやすい!
「クドカン、スゲー!」
と、思わずアンケート用紙に書いちゃった。
そして、それを演じきる松たか子、スゲー!って、思ったのでした。

マクダフ役の北村有起哉さんは、数年前に初めて舞台を見た時に「うまい若手がいるもんだなぁ」と、思ったけれど、今回もとても良かった。そんなにハンサムじゃないし、細い体であまり目立ちそうな感じじゃないのだけれど、大勢が舞台にあがっている時は、やはりうまいので目が追ってしまう。
今回、いつも以上に実力のある豪華キャスティング揃いだったような気がする。

開演と同時に、強烈なメタルサウンドに乗せて、マクベスもバンクオーもマクダフも歌いまっていた。
例の3人の魔女もメタルサウンドに乗せて予言を歌いまくる。
メタルサウンドは悲劇によく合うね。
何か言い方が古いけど、「むせびなくギターサウンド」は、悲劇によく合うんだなぁと思った。
かっこいい。
パンクじゃ、ちょっとこうはいかないなと、思う。
座席に座って観ているのが苦痛だった。
オールスタンディングで観たかった。
立見席の人、むしろラッキー。

今回、初お芝居体験の妹を連れて行った。
彼女は森山未来くんの大ファンなのだ。
森山くんも舞台に現れた瞬間、誰よりもオーラがキラキラしていて素敵だった。
あぁ、人気あるの分かるわ、と思った。
そして、妹もすっかり新感線に魅了されて、「来年も連れてけ」と、今から言い出している。
ほほほ。これでまた1人お芝居好きを増やしましたわよ。
ミッション成功☆

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2006年5月 5日 (金)

「ライフ・イン・ザ・シアター」        ポール・ミラー

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2006年5月3日 
13:00~
IN シアタードラマシティ

作:デイヴィッド・マメット
翻訳:小田島恒志
演出:ポール・ミラー
出演:市村正親・藤原竜也

二人芝居を生で観るのは初めてで、最後まで飽きずに見られるのかどうか不安だった。
一人芝居も二人芝居も、力のある俳優が出てこなければ、正直、見ていて飽きる。
今までも、何度か観ていて気持ちが挫折した舞台があった。
結論から言えば、始まった途端に…そして、最後まで飽きる事なく舞台を鑑賞できた。
何もかもが絶妙に配備されていた良い舞台だった。
翻訳モノのお芝居と外国人演出家の手がけた作品を見るのも、ほとんど初めて。
でも、何もかもちょうどいいバランスで演出されていて良かった。

演出も丁寧でシンプル。
舞台美術や衣装も必要最小限でありながら普遍的なデザインで分かりやすいものだった。
もちろん、それは、このお芝居の特徴を生かすためにはあえて分かりやすくする必要があったのだとは思うのだけれど。

何しろこのお芝居は、
「ライフ・イン・ザ・シアター」
舞台で繰り広げられるのは、老いた役者と若い役者の姿を借りたわたしたちの人生の縮図。

共に劇場付きの役者であるロバートとジョン。
ロバート(市村正親)は、大ベテランの俳優で、ジョン(藤原竜也)は、駆け出しの若手俳優。
初めはロバートにへりくだるようにして従っていたジョンが、しだいに役者として実力を付けていき、人気のある役者になっていく。
反対に、ロバートは己の役者人生にもうこれ以上の先はないと悟り始めている。
しかし、過去の栄光は忘れがたく、そして役者以外にすべき事もない彼は、ことあるごとにジョンに演劇論をぶつ。
そんなロバートをうっとうしく感じつつも、それでもその姿に多少の哀れみを感じていて見捨てきれないジョン。

役者の世界でなくても、どこの世界にもこういう事はあるだろう。
大したこともできないのに、言葉だけは大きくて、すぐに人に演説したがっちゃう。
いるよね。
会社にもどこにも。
ロバートとジョンの姿は、そんな上司と部下とか、父と息子とか、先輩と後輩とか…ありとあらゆる人間の縮図を見せられたような気持ちになる。
あぁ…わたしは、ロバートにはなりたくない…と、思う。
気をつけよう…そんな人生は惨めだ…と、思ってみたり。

ロバートは、本当に見ていて切ない気持ちになってしまう。
彼の気持ちは分かるけれど、ジョンに小言を言えば言うほどうっとうしがられている…。

なぜ、この時期にこのお芝居をする意味があるのかと、観ながら思っていたのだけれど、観終わってみれば分かる。
このロバートの役もジョンの役も、市村さんと藤原くんが演じるから心底イヤなヤツにならないのだ。
演技力をつけて人気のあがってくる若い役者という設定に納得がいくのだ。
誰が演じてもだいじょうぶという役ではないのだ。
今、日本で市村さんくらいキュートに、この切なくて惨めなロバートを演じられる俳優がいるのかどうか。
演技力がある若手俳優という役を、藤原くん以上に説得力を持って演じられる若手俳優がいるかどうか。
多分、いないんだよ。
奇跡のコンビだったんだよ。
だからこそ、演出家はこの脚本を舞台に上げたいと思ったんじゃないだろうか。

できれば、30年後、藤原くんには、今度はロバートの役で舞台に立ってほしいな。
その時に、容姿も演技力も兼ね備わったすごい若手俳優が出てきているだろうか。
楽しみだ!

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2006年4月26日 (水)

「ENDLESS TRIP」 PEOPLE PURPLE

2006年4月22日(土) 18:00~
in 新神戸オリエンタル劇場
脚本・演出/宇田 学

友人の弟さんが、この舞台で照明を勤めると聞いたので、行ってみる事にした。
とはいえ、この劇団、関西ではなかなか人気のある劇団で、前作の阪神大震災を扱った舞台「ORANGE」は、かなり各方面で反響を呼び、今回、ついに東京進出と相成ったようです。
今回は、ゲストに演劇集団キャラメルボックスの役者さん方も出演されていて、プロからのバックアップも感じられるスタートです。
ぜひ、今後も頑張ってほしいと思いました。
もちろん、それは、舞台を実際に観ても、そう感じました。
小劇場で地道に活動していっている劇団が、チケット1500円代から、いつしか3000円代になっていくほどに観客を動員し、そして、こんなふうに新神戸オリエンタル劇場なんかで公演を打てるようになるなんて、ほんとーにほんっとーにすごい事ですもんね!
こんな事、言ったら何ですが、実際に舞台を観て、1500円芝居と3000円芝居とが何がどう違うのかハッキリと理解できました。
この劇団がなぜ人気があるのかもハッキリと分かりました。
もちろん、まだまだ、役者の力量不足な場面も多々ありました。
演出も脚本も、もっと工夫できると思う所も多々ありました。
でも、この劇団が新神戸オリエンタル劇場の2階席までお客さんで埋め尽くし、そして、観客に3000円を払ってもいいと思わせてくれるモノを確実に持っている事は、観た人の誰もが分かるでしょう。

お話しは、未来と現代を行き来するSF物。
こういうお芝居をする事のほうが珍しいのかな?
初めて観たのでよくは知りませんが、現代の場面の方が演出や役者の演技がスムーズだったので、何となくそう感じました。

100年後の地球は、争いで満ち溢れ、人の感情さえもコンピュータでコントロールされている世界。
若者たちは、戦いに明け暮れ、心休まる時もない。
ただ一人の奇跡を呼ぶ少女の出現を待つばかりとなっていた。

そして、100年前の世界では、盲目の少女が地道に作家の一人として生活している姿があった。
両親を亡くし、雑誌の編集部に勤める姉との二人暮し。
担当編集者の若者とは恋人同士である。

そして、100年後の地球に住む5人の若者たちは、100年前の盲目の少女こそ、奇跡を起こす希望の者だと発見する。
未来の自分たちを救うために、彼らは100年前の地球にやって来る。

100年後の少女と100年前の少女がリンクし、100年前の若者たちと100年後の若者たちが出会う。
それは、100年という時を経てもなお、同じ愚かな争いを続けている人類の姿を、互いに見てしまう結果にもなる。しかし、若者たちは過去をあきらめず、未来もあきらめないという結論に至る。
100年前に恋人同士だった者は、100年後の自分たちの幸せのために、今をよりよきものにしようと必死に生きる。
時にそれは、争いであったりもする。

過激な残酷なシーンもあった。
そこまでしなくても…と、思う場面もあった。
けれど、作・演出の宇田学さんがパンフレットに書いているように、
「意味のある争い。そんなものはこの世界にはない。世界中の笑顔が消えないように。」
というメッセージはきちんと伝わってくる。
戦うことは全然かっこよくなんかない。
残酷に人は殺され、自分も死んでいくだけだという事が分かる。

もっともっと脚本をシンプルにすれば、その切実な作者の思いが、もっとストレートに伝わってきたのではと、思った。けれど、真摯に演技し続ける舞台の上の役者たちによって、それは補われていた。
誰も欠けてはならない、不必要な役など何一つない舞台だった。
でも、実は、そういうふうに舞台を作る事ができるかどうかが、結構難しいのだと思う。
役者の誰もが、なぜ、今、自分がこの舞台に立って、この役を演じているのかその意味を分かって演技していた。
どんなにくだらないと思えるような変な役にだって、その役が欠けるとダメだと思わせるパワーがあった。

何度も涙ぐみそうになったけれど、終演後に友人の弟さんに会う事になっていたので、グッと我慢。
マスカラが取れて黒い涙が出たらいけないので。笑

次回公演は、5月と9月。
5月はすぐなので、ちょっと無理そうだから、9月公演は行ってみようかなと、思う。

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2006年4月18日 (火)

お芝居情報!

学生の時からの友人は、お芝居姉弟。
彼女自身は女優修行をしていたことがあり、弟さんは現在も照明さんで活躍中とのこと。
リリパットアーミーなんかの照明もやってる人みたいです。

で、その弟さんが照明を手がける公演を知ったので、宣伝!
なかなかオススメの劇団だと、お芝居好きな友人たちからも聞くので、近くの方も遠くの方も、ぜひ少しでも興味を持たれたら会場へ足を運んでみてください。
お気に入りのお芝居が一つ増えるかもしれませんよ!


PEOPLE PERPLE 公演
「ENDLESS TRIP」
http://www.h7.dion.ne.jp/~pxp/endlesstrip06.htm

ちなみに、わたしは、勉強会日程が近いのでちょうど良いということで、土曜日の神戸公演に行く予定です。
楽しみ楽しみ!
観たことのない劇団のお芝居を観るのは、わくわくどきどきするね!
キャラメルボックスの役者さんもゲスト出演するみたいなので、話題もあるね!
今年は初の東京進出ということだそうなので、頑張ってほしいですね!

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2006年2月13日 (月)

NODA MAP公演 「贋作・罪と罰」

11日(土)19:00~
inシアターBRAVA!

原作・ドストエフスキー
戯曲・演出・野田秀樹
出演・松たか子・古田新太・段田安則・宇梶剛 ほか

「志のためには時には人を殺しても許されるのか」
なんとも重たいテーマ。
けれど、役者たちの時にコミカルな演技で観客席には笑いが起きる。
特に、父親役の中村まことさんがいい。
酒に溺れて定職もなく、権力者にこびる情けないゲスな男を切なく演じていた。
こんないい役者さんがキャスティングされているからこそ、ラストシーンも生きてくるんだなぁと思った。

ロシアの名作「罪と罰」を日本の幕末に置き換えて、勤皇の志士たち、そして学生運動を彷彿とさせるシーンの数々で描かれていく。
舞台装置はさまざまな形の椅子たち。
音響も最小限で、SEは役者たちが出す音のみ。
円形劇場に変えられた劇場で、12人の役者たちは常に出ずっぱり。舞台を降りている時も、彼らは「誰か」となり、舞台上の主人公を見つめ続けている。
その姿は、観客席から見ると何とも不思議な光景だ。
彼らは登場人物でもあり、わたしたちでもあるような気がする。

新感線好きなわたしは、他の劇団の舞台で殺陣のシーンがあると、カキーンとかズバッとか音がしなくて物足りない時があるんだけれども、この舞台では、そんなことはこれっぽっちも思わなかった。役者の迫力と静けさがその必要のない事を納得させてくれたのだと思う。

松たか子さんは「オイル」を観た時よりもさらに素敵な女優になっていた。声がきれいだし、演技が透明というか、真っ直ぐでいい。
金貸しの老婆とその妹を殺してしまった三条英の孤独とか苦悩が、ストレートに伝わってくる。
そして、才谷梅太郎役の古田新太がそんな彼女をドカンと受け止めている男前演技でかっこいい。
久々の二枚目役!きゃ。
これはファンの贔屓目だけではない事は、一緒に観に行っていた友人3人様がたの感想を聞いてもわかった。
ね。
かっこいいでしょ。
古田さんは。w

あくまでも流血をせずに時代を動かそうとする才谷と、人の血を流してしまった英。
英の罪の告白を聞いた才谷は、将軍に頭を下げさせるために城へ向かう。
英が大地へくちづけをするシーンと大政奉還のシーンがシンクロする。

ここにも、志のために多くの人の血を流した者がいる。

いいお芝居だった。
充実した時間だった。
満足。

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2006年1月21日 (土)

茂山狂言を観る。

人生で2度目の狂言鑑賞。
ちなみに、初鑑賞は子どもの頃だったので記憶にほとんどない…。

地元のホールに来たので、観に行く事にする。
茂山一門の皆さんの事は、「お名前はかねがね…」程度で、名前と顔の一致するのは茂山逸平ちゃんくらいです(ちゃん付けすんな…)。
狂言とか能だとか、何だか敷居が高くて一緒に行こうって誘いにくいので、一人で行ってみましたが、これは「おもしろい!」と、叫びたい感じでした。
次は誰か誘います。お薦めできるもん。
何だ、これ。普通におもしろいじゃん!って、思った。

狂言なんだから、喜劇なんだからおもしろいんだろうけれど、それ以上に、狂言での演出の決まり事等を全く未知のまま挑んだので、果たして役者の言動が理解できるのかとか、すごく心配だったんだけれど…ってゆうか、古典芸能すごい何でもアリの世界だったのね!と、目からウロコ。
役者のアドリブもたくさん出てくるし、本人たちが楽しんでセッションしている事が伝わってきて観客にも楽しい気持ちが伝染してくる。
静かな舞の場面では、舞っている人の心臓の音まで聞こえそうなくらいの激しいもの。
汗が面と額との間に見えて、静かだけれど、かなりきつい動きである事が分かる。
かっこいいぞ!

今回の演目は、
「猿婿」
「しびり」
「釣狐」
の3本。

「猿婿」は、要するにお猿さんの結婚披露宴の様子を表現したもの。
花婿猿と花嫁猿を据えて、来賓客猿たちが飲めや謡えやの大騒ぎ。
何がおもしろいって、猿たちの自己紹介と謡い以外が全て「猿語」で表現されている事。
かなりシュール。
大のおとなたちが、8人ほどよってたかって、「きゃっきゃ」「きゃきゃっきゃ」「きゃ~ぁ?」「きゃきゃきゃきゃきゃ」と、言い合っているんである。それが動きと連動して、ちゃんと何を言っているのか分かってしまうのが本当にウケる。
客席には子どもも何人かいたけれど、子どもたちは猿がしゃべるたびに大きな声でうれしそうに笑う。
わたしも、一人で観に来ている事を忘れて「あっはっは」って笑っちゃいました。

「しびり」は、主人にお使いを頼まれた太郎冠者が、遠くまで行くのがイヤなので仮病を思いつき、足が痛いと騒ぐ話し。
仮病を見破った主人と太郎冠者の知恵比べが、オーバーに演じられていき、これまた客席は爆笑の渦。
太郎冠者役の茂山千作さんは、人間国宝だとか。85才。
このおじいちゃんが、ジャンプしたり転げ回ったりと、かなりの体力を使う。そして、その演技のコミカルでキュートなこと!めっちゃくちゃカワイイ人間国宝ここにあり!って感じ。

「狐釣」は、狂言役者にとっては特別な演目なんだそうだ。
この演目を見事にやり抜いた時に、初めて一人前の狂言役者として認められるという難曲だとのこと。
それを知らなくても、かなりハードな演目であることは、客席にいても分かる。
要するに「スべったら、もうフォローしようのない演目」だと感じた。
ひゃ~!!
こわ~い!
今回の公演では、スべる事なく、見事に楽しませてくださいました。

これを機に、いろんな狂言の演目を観てみたいと思った。
なんだ~、こんなにおもしろいものだったんだ~と、ハマり気味。
友人曰く「狂言は昔のコント」だとか。
納得!

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2005年11月20日 (日)

山の手事情社 「オイディプス王」

2005年11月19日(土) 19:00開演
in 鳥取県民文化会館小ホール

原作・ソフォクレス
構成・演出・安田雅弘
演出アシスタント・小笠原くみこ
出演・内藤千恵子、倉品淳子、大久保美智子、太田真理子、久保村牧子、水寄真弓 他

山の手事情社の舞台は、お薦めです。
もっともっとたくさんの人に観てもらいたいと切実に思う劇団。
東京や海外では、その実力にあった評価がされていて観客動員数も多いのだろうけれど、こうやって鳥取の地方公演に来ると、信じられないくらい観客数が少ない。
もったいないとしか言いようがない。
あまり文化面に興味のない人が多いというのもあるのかもしれないのだけれど、地元スポンサーの宣伝がマズイというのもすごく感じる。
…だって、いつ何があるのかボーっとしてると知らずに終わるもん。
ほんっとーにもったいない。
この公演も、わたしは山の手事情社さんの方に教えてもらうまで知らなかった!
で、今回は地元での宣伝活動を微力ながらお手伝いさせて頂きました。
当日、会場でどれだけのお客さんが来るのか本当にドキドキでした。
でも、一昨年の鳥取公演に比べると入っていたので少しは安心。
本当はもっと入ってほしい。
大ホールを満員にするくらいの力のある劇団なのに、地方公演でのこの仕打ちはひどいと思うのでした。

「オイディプス王」といえば、世界最古の戯曲と言われる作品。
ソフォクレスが書いたとされているけれど、それも誰が証明したのか…。
それにしても、世界最古の戯曲のこの完成度と、現代で上演しても何の遜色もない事のすごさを改めて感じる。
今回、山の手事情社の演出は、オイディプスの悲劇を、現代に生きる女性の悪夢として演出していた。

「オイディプス王」といえば、わたしは何となく男の芝居というイメージがあった。
それは、女王以外の出演者が全て男性だからなのか。
それとも、父親殺し、母親犯しの悲劇をリアルに感じられないからなのか。
おそらくどちらも。

オイディプスという男は、現代人の目から見ればマヌケといえばマヌケだ。
盲目の予言者の言葉「お前はいずれ、実の父を殺し、実の母と交わる」を恐れ、テバイ国へ逃げる。
テバイへ行く途中、道端で難癖付けてきた男たちを殺す。
やがて、テバイの国王となり、前王の妃を娶る。
もう、観客には何がどうなっているのかバレバレなんだけれども、何百年も昔の悲劇は、今の人間には滑稽に映る瞬間さえある。
けれど、山の手事情社の演出では、オイディプス王の役も、彼の妃も、彼の弟も、羊飼いの老人も、全て女優によって演じられる。
しかも、衣装は、白く美しいドレスである。
王も妃も弟も羊飼いも、一様に白いドレスだ。
だから、女のわたしは、この芝居を男の芝居だとは思わなかった。

そして、王や妃に扮している女たちは「運命たち」と呼ばれる、黒衣の男優たちに、結界の外で殴られ蹴られ、投げ飛ばされ髪の毛をひっつかまれて引きずり回される。
それは、今の世界中に存在している怒りと暴力の象徴だった。
それは、戦争と呼ばれ、テロと呼ばれ、殺戮と呼ばれ、抑圧と呼ばれ…。
ありとあらゆる暴力の連鎖を連想させる。
女優たちが舞台上で黒衣の男優たちに虐げられるたび、ボディーブローをくらわせられたように、鈍痛を感じた。

脳みそで感じる芝居はたくさんあるけれど、身体で感じる芝居というのはなかなかない気がする。
そういう意味でも、山の手事情社の舞台は、すごく新鮮な感動を与えてくれる。

ラスト、自らの出生の秘密を知った時、オイディプスは己の両の目をつぶす。

今回、この目をつぶす演出に感動した。
芝居が始まってからずっと舞台上にテレビが置かれていて、それは時に、現代の若い女性の部屋を演出し、時には王の玉座になる。そして、最後にオイディプス自身の目として男たちにより破壊されるのだ。
オイディプス王の目から赤い血がながれる演出はないのに、テレビから飛び散る光と煙が涙と血に見える。
ゾクリ、とした。

盲目の予言者の予言通りの運命をたどるオイディプス。
そして、自らの目をつぶすオイディプス。
彼はその時、次の世界で予言者になるのだろうか…。
恐ろしい悲劇の連鎖を終わらせるためには、世界中のオイディプスたちが自らの目を閉じないで、目を見開き続ける事が大切なのではないだろうか

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2005年10月28日 (金)

宣伝!

何だかひょんな経緯で、劇団山の手事情社さんの宣伝をさせて頂く事になりました。

劇団山の手事情社
『オイディプス王』
構成・演出/安田雅弘
原作/ソフォクレス
11月19日(土)19:00~
鳥取県立県民文化会館小ホール
一般2000円
大学生以下1000円

はっきり言って、山の手事情社さんのお芝居を2000円で観られるなんてラッキーにもほどがあります。
鳥取での「パフォーミングアーツ2005」というイベントに合わせて県が招致したようです。

2500年以上前に書かれながら、いまだに超える戯曲がないとさえ言われるギリシャ悲劇の傑作、ソフォクレスの『オイディプス王』。
この原作を若い女性の悪夢としてとらえなおし、運命に翻弄される人間世界を描きます。
2002年、東京での初演以来、昨年10月に東京で再演、今年5月に静岡舞台芸術公演で野外劇として上演、10月にはポーランドで招聘公演をおこなうなうなど、山の手事情社の代表作の一つです。
この機会にぜひご覧ください。(劇団チラシより抜粋)

【劇団山の手事情社とは】
1984年に安田雅弘を中心に東京で結成。《四畳半》と呼ばれる独自の演技スタイルは、現代日本人の精神性を、制約された身体に凝縮する試みとして高い評価を受けている。
昨年8月に韓国、今年秋にスイス、ドイツ、ポーランドツアーをおこなうなどの海外の注目も集めている。

劇団の旗揚げメンバーには、池田成志さんもいらっしゃったとお聞きしました。
わたしは、一昨年にこの劇団の『船弁慶』を観て、かなり感動しました。
今まで観たこともない演出と、役者の動きにただただ脳細胞が増える快感を味わいました。
この感覚は、蜷川幸雄の舞台を初めて観た時以来だと思いました。
一度ご覧になる事をお薦めします。
鳥取という遠い所ではありますが、ポーランドから帰国したばかりの凱旋公演がここだけです。
これを見逃すのはもったいないとしか言いようがありません。
お近くの方はもとより、遠くの方も、鳥取への温泉旅行などを兼ねてぜひいらして下さい。

*******

そんなわけですが、わたしは今日の昼前から風邪ひき決定。
くしゃみ鼻水鼻づまり。
喉の痛みに、悪寒まで。
堤さんのCMしてる、プレ●ール飲まなきゃ…。笑

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2005年10月25日 (火)

劇団☆新感線「吉原御免状」

2005年10月20日(木)昼公演
2005年10月22日(土)昼公演
梅田芸術劇場

原作・隆慶一郎
脚色・中島かずき
演出・いのうえひでのり
出演・堤真一・松雪泰子・古田新太 他

今回は、初新感線観劇の知人に頼まれて引率兼だったので、2days観劇とあいなりました。
でも、結果的には良かったです。1度観た日に「これは、もう一回観なければ」と、思ったので。

新感線、初の原作モノ。
新感線、初の歌ナシ演出。
新感線、初のギャグなし演出。
新感線、初のセクシーシーン有り。

初モノ揃いの今回で、前評判はまさに「賛否両論」といった感じでした。
「こんなの新感線じゃない!」と言う人たちと、「やっぱり新感線はすごかった!」と、言う人たちと真っ二つな感じで、わたしも自分の目で確かめるまでは、かなりドキドキだった。
で、結果、わたしは、「やっぱり新感線はすごかった!」派。
特に、新感線のギャグマシーン橋本じゅんさんが、今回はかなり男前演技をしていて、わたしは感動しました。
渋かった~。

そして、今回、わたしも個人的にお初な事が!
何と、2度目の観劇日、座席が1列目!
しかも、ドセンター!
ファンクラブ入ってて良かった!

さてと。
物語は、赤ん坊の時に、剣豪宮本武蔵に拾われ山奥で育てられた松永誠一郎(堤真一)が、26歳になった日、師の遺言通り山を下り、江戸の新吉原へ幻斎老人(藤村俊二)を訪ねるところから始まる。
山奥育ちの田舎青年。しかし、剣の腕は武蔵仕込みの二天一流。そして、自覚はないが美男子の誠一郎。
吉原に着くなり、彼は高尾太夫(京野ことみ)と勝山太夫(松雪泰子)に気に入られた様子。
そして、未来を予見する力を持つ幻斎の孫、おしゃぶ(田畑亜弥)は誠一郎の未来を告げる。
そして、幻斎も誠一郎に告げる。
「吉原はこの世の極楽。そして地獄」
その意味を推し量ろうとする誠一郎の前に、飴売りに変装した裏柳生の義仙(古田新太)が現れる。
義仙は、柳生総帥の穏健派である兄・宗冬(橋本じゅん)とは違い、秀忠の怨念を一身に背負ったような悪の化身。容赦なく誠一郎に斬りかかるが、彼も斬られるような腕ではない。互角に斬り合う二人を宗冬が止める。

なぜ、裏柳生の者に狙われなければならないのか、なぜ自分が吉原へ来なければならなかったのか。
誠一郎のとまどいをよそに、彼の周囲はすでに動き始めていた。女を知った後に、彼の使命を教えようと幻斎に言われ、高尾太夫と一夜を共にした次の日、誠一郎は再び攻めてきた義仙の言葉によって、自分の出生の秘密を知る事となる。
親に捨てられて武蔵に拾われたあわれな子どもだと思い込んでいた自分に、恐るべき過去があった事を知る。
親に捨てられたのではなかったという安堵と同時に、あまりな出生の秘密に激しく動揺する誠一郎。

そして、幻斎の友、八百比丘尼(高田聖子)の導きにより、過去を見、吉原の者たちの野望を知る。
すなわち、彼らはもとは山の民「傀儡子一族」の者であり、幕府の差別政策により虐げられてきた人々なのだと。
差別される身分から脱出しようと、若き日の傀儡子一族の長だった幻斎は、傀儡子の女たちを身分の上下のない廓で働かせ、町や村の女たちと分からないようにして、やがて年季があけたらそ知らぬ顔をして、人々の中に紛れて暮らせるようにと画策していたのだった。
そのため、吉原は遊郭というよりは、その設計は城そのものだった。
最後に必要なのは、幕府の公的な営業許可が必要だったので、幻斎は家康に直訴に出る。
無謀にも思える作戦に、しかし家康は簡単に許可を出す。
それがすなわち「吉原御免状」。
家康の署名が、家康自身も傀儡子の一族だとほのめかす内容だったために、裏柳生の者たちが必死にその書を手に入れようとしているのだった。
そして、誠一郎の父親が天子様だと知って、天子の血を引く人間が吉原の統領になれば、誰も傀儡子一族を差別できなくなり、幕府の差別政策が水泡と化す事を恐れているのだった。
誠一郎は、そんな紙切れ一枚に人が斬り合う事は愚かだと思い、
「男と女がいる限り吉原はなくならないのでは?」
と、幻斎に疑問を投げかける。そんな誠一郎に、幻斎は「甘い」と、一喝。
「それじゃあ、ただの買春宿だよ。傀儡子の民を救う事にはならないんだよ」

そして、幻斎たち吉原者たちに、吉原の頭領になってほしいと頭を下げられるが、誠一郎は断る。
幻斎たちは落胆するが、無理強いはしない。
しかし、誠一郎が迷っている間に、彼の周囲では人が殺され、密かに想い合っていた勝山太夫も、義仙に無惨に殺される。
「優しすぎるのは、悪なんだよ」
勝山太夫が死ぬ前に、幻斎は誠一郎に告げる。
三人の女…高尾太夫も勝山太夫もおしゃぶも大切に思う誠一郎の甘さは、幻斎の言うように勝山太夫を死に至らしめる。
「殺したのはお前だよ」
義仙に言われ、誠一郎は修羅と化し、義仙たち裏柳生の者たちと激しく斬り合う。

多くの者を斬り殺し、自分の中に恐ろしい鬼を見た誠一郎は黙って山へ帰ろうとする。
しかし、そこへおしゃぶをはじめとする者たちが、誠一郎を迎えに待っていた。
「俺は、今まで何をしていたんだろう」
それが、ラストのセリフ。

・・・正直、一回目を観終わった時は、このセリフで終わり!?と、驚いた。
でも、なぜなんだろうと考えるうちに、このセリフがとても余韻のあるセリフだと分かった。
単純に言ってしまえば、この芝居は、自分を捨て子だと思っていた居場所のない一人の若者が、最終的に自分のなすべきこと、居場所を見つける「自分探しの旅だぜへへへイ♪」ってな事なんだと思う。
そこに、傀儡子一族という、幕府によって被差別の立場に置かれざるおえなくなった者たちの物語がからめてあって、新感線の以前の作品『アテルイ』を思い出したりした。
新感線は、相変わらず、時代の大ヒーローではない、滅んでいった者たちとか、虐げられていた人たちとか、そういう歴史の表舞台には立たなかった人たちが主人公になるから、おもしろい。

今回の見所は大きく分けて、三つ。
一つ目は、花魁姿の京野ことみと松雪泰子の艶やかさ。
二つ目は回り舞台をフルに使った、吉原の街の俯瞰美術っぷり。
三つ目は、堤真一と古田新太の対決殺陣シーン。

松雪靖子さんの花魁姿が美しいであろう事なんか、誰にでも予想できるだろうけれど、京野ことみさんの花魁姿もこれまた、可憐で美しかったです。松雪さんが大人の女というならば、京野さんは花魁なのに、少女のような不思議な存在感でした。

回り舞台の上でくるくると動く紅格子は、本当に鮮やかで、舞台転換に一役も二役も担っていた。
今回、二回とも、前の方の席で観られたけれども、回り舞台演出を味わうならば、二階席や三階席の方が絶対に良かったはずと、思った。
そして、堤真一さんと古田新太さんの対決シーンは、もう腕のいい殺陣役者二人なわけなので、ものすごい美しい殺陣シーンでした。もう、何かうっとりするしかないって感じ。
色男2人(え?何か文句ある?)が向かい合って殺陣しまくっとるわけですから、ヨダレ出ますよ。笑
迫力と色気のある殺陣。見飽きない。
『野獣郎見参』以来の、二人の競演で、まさに「待ってました!」と、声を掛けたくなる感じでした。
しかし、その殺陣も、おそらく上の方の席で観たら、布陣がすごくかっこよかったんだろうなぁと、予想。

そう言うわたしに、一緒に観ていた友人が一言。
「どんな席にも、それぞれの良さがある」
名言です。

で、わたしの1回目の4列目席と、2回目の1列目席の良さは、一言で申せば「役者が近い」事です。
ってゆうか、それに尽きる。
特に今回は、ステージに腰掛けてセリフを言う場面がすごく多かったので、手を伸ばせば触れてしまえる距離に、堤真一さんがしょっちゅう座るんです。
わたしがストーカーなファンなら、触ってたな。笑
でも、改めて舞台って怖いな~って、思いました。ホント、変な人いたら触るよ、あんな近かったら…。
至近距離に、ナマ堤真一。
まず、出てきた瞬間に思った事は、

顔、ちっちゃ!
背ェ、高ッ!
足、長ッ!
ケツ、ちっちゃ!
お肌つるつる!

って、事でした。
何かねえ、今までわたしが日常生活で出会ってきたハンサムくんたち全てがニセ者にしか思えなくなった。笑
また、人生踏み外すわ~。笑
本当の美男子っていうのは、こういう生き物の事を言うのか!と、感動しちゃった。笑
何か、根本的に全く違ってたゾ…。
「水もしたたるいい男」なんて、まぁ、昔の人は大げさな(笑)なんて、思っていましたが、その形容が似合う人が世の中には本当にいるんだと知りました。
昔の人は、すごい!目からウロコ。
本物の美男子っていうのは、本当に水したたってます。
嘘じゃありません。しっとりしてます。笑
美男子なんて生き物、これから先の人生で間近で見られる事なんてないかもしれないので、思いっきり見つめときました。こんなところまで貧乏性でどーする!?笑

でも、着流しだから、しょっちゅう太もも大サービスだし、ふんどし一丁になるし、はっきり言って目のやり場にこまる事もありました…。照
だって、見ず知らずの男の人の太ももなんてじーっと見ないよ、普通…。ふんどし姿なんて見ないよ、普通…。
しかも、多分、じーっと見てたら「見過ぎやろ、おまえ」ってバレるくらい近い。
だから、露出度高し…な、時は、松雪さんばっかりじーっと見てました。
同性だと、平気なんだよね。笑

そんな、わたしですが、至近距離の古田新太さんをじーっと見る事はできませんでした。
だって、すごい近くて、色っぺくて、しかも極悪人の役だから、すごい目つきで客席睨んでるし、かっこよすぎて見るのもパワーいるくらいすごく緊張した。不覚にも、すっごいドキドキマシーンと化してしまったゼ…。
一緒に見ていた友人たちの存在を忘れ去って、この世には古田さんとわたししかいないくらいの勢いで緊張した。
あんなに間近で古田さん見つめてて、目なんか合っちゃった日にゃぁ、わたしは観劇中に鼻血出しちゃうと思う。
もう、何かすみません。感想の締めが、やっぱり古田ラヴなだけのわたしで…。
恥ずかしい…。

あきれた人は、自分の好きな役者さんに置き換えて考えてみて下され。
わたしの事、笑えないと思うよ!

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2005年10月 8日 (土)

「SHIROH」DVD

DVD買っちゃった。

お芝居はライブが一番!としか言いようがないから、基本的にビデオやDVDは買わない主義なんだけれど、この舞台だけは観終わった後、劇場を後にしながら、
「DVD出たら絶対に買おう!」
と、思わされてしまった。
手元に置いておいて、好きな時に観たいと思った。

昨年と今年の年末年始をまたにかけ、劇団☆新感線の初の試みミュージカル「SHIROH」が上演された。
天草四郎を主人公にした、ロックミュージカルというので、題材自体にもおもしろそうだな~と思ったし、それにまあ、新感線のお芝居は好きだし、主演が上川隆也さんと中川晃教くんだし(ただし、この時点で中川アッキーくんの事はよく知らなかった…)、まあ、観て損はないだろうぐらいの軽い気持ちでチケットを取った。

観た。
ら、もう、ハマった。
新感線の今までのド派手な演出ともだいぶ違っていたけれど、それが逆にすごくかっこ良く仕上がっていた。
それに、ただ明るく前向きで声高らかに歌うミュージカルでもなく、「9・11」以降の日本や海の向こうの国々に思いを馳せさせる演出で、観客にもきっといろいろな想いを抱かせたんじゃないかな~と感じた。

四郎とシローという役を演じた主演2人も、それぞれにとても素敵だった。
中川晃教くん演じるシローという少年は、「歌声で人の心を動かす神の御子」という役柄だったんだけれど、本当にびっくりするくらい説得力のある歌声で、この役は中川くん以外に考えられないと思った。
演技も率直で素直な感じで、好感度大。

最近、演出したいのうえひでのりさんのインタビューを読む機会があったのだけれど、まだ完成形だとは思えないのでいつか再演をしたいというような事を言っておられた。
その不完全なポイントも挙げられていて、生で観て、ただただ口をポカーンと開けて感激していただけのわたしは、改めてなるほどな~と、感心した。
冷静な人だ。
それでこそなのでしょう。

本当にぜひ、再演を!
心から待っています!
必ず観に行きます!
3回くらい観るかも!
再演をしてほしいと思う舞台って実はなかなかない。
何年後になるか分からないその日まで、わたしはDVDで我慢しています!笑

DVDの良いところは、やっぱり役者のアップが観られるところかなあ。
劇場の客席からは、どんなに前の席でも限界がある。
だからこそ、舞台用の演技があるんだけれど、それでも表情をアップで見られると、
「ああ!この時、この人はこんな気持ちで演じていたのか!」
と、新しい発見がある。
特にこの舞台では、リオという幻の少女がたまに舞台上に現れちゃったりするんだけれど、このリオ役の大塚ちひろさんが、後半ずーっと泣いている事が分かったりした。
泣いている事が分かっているといないとでは、主演2人の感情のブレがまた違って見えてくるからおもしろい。

お芝居の映像化で残念な事は、わたしが観た日の公演と全く同じものが映像になっているわけではないという事。当たり前の事なんだけれど、あの日と全く同じ感動は味わえないというジレンマがある。
すごく好きだった役者の演技が、この撮影の日には入ってなかったり、観たい舞台装置が中途半端にしか観られなかったり、「そんなところから映すなよ!」と、思うような演出を無視したカメラアングルもあったりして、やっぱり生の舞台には及ばないところがたくさんあった。
それがフラストレーションといえば、フラストレーション。

何より「ちッ」って思った事は。
ラスト近く、上川さん演じる四郎が、天に召されるシーンで、あお向けに倒れて死んでいるかっこうから起きあがる時、「腹筋だけで!」起きあがったのを劇場で観た時は、もう鳥肌たつぐらいかっこよかったんだけれど、このDVD撮影の日は、倒れ方がうつぶせになっていたので、普通に「よっこいしょ」って起きあがってた…。

ガーン。

舞台は1回しか観ていないので、どっちがオーソドックスな演出だったのかは知らないけれど、あの「腹筋だけで!」起きあがった演技をもう一回観たかったのに!
その日の死に方具合で倒れ方も違って当然なんでしょうけれども、ちょっと残念ッ。
でも、もし「よっこいしょ」が通常バージョンだったのなら、わたしが生で観た日がラッキーデーだったちゅー事だと思えば惜しくもないわ。
何のこっちゃ。

あとな~、DVDの映像は当たり前だけれどきれいなんだよね~。
きれいすぎて不満。笑
肉眼で観るよりもきれいになってるから、何か違う気もするんだよな~。
そのクリアな感じが似合うお芝居もあるんだろうけれど、少なくとも新感線はそうじゃない気がする。
それから、観客の笑い声や拍手がすごく押さえてある音声にも不満かも…。
劇場で観ている時の気持ちの高揚感の一つに、他の観客との一体感もあると思うんだ~。
映画館でも、わたしはたまにゲラゲラ笑ったり拍手したい時あるんだけれど、他の人がシーンとしていると何かちょっとできないじゃん。笑
恥ずかしいし。でも、笑いたいし拍手したいんだ。
そういうジレンマが美しすぎる音声にもある。

でも、映像化されたものはされたもので、ちゃんと感動します。
わたしはやっぱりDVDででも、ホロリときやした。

特典映像に、東京と大阪の千秋楽のカーテンコールの様子が収録されていて、おもしろかった。
おっさん(すみません言葉のあやです)四郎のしょーもないツッコミの数々に、「も~なんだよぉ~」って困った顔してぶつまねとかしちゃってるかわいいシロー少年の姿が再び好感度大。笑

ダメだ…。
ダメすぎる、わたし…。

とりあえず、後日、希望者に貸し出しいたします。
でも、もう少し堪能させて下さい。笑
希望されなくても、強制観賞させる予定の方もおりますので、お覚悟を。
うふ。

さー、気持ち切り替え切り替え。

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2005年10月 2日 (日)

スケッチブック・ボイジャー

ずいぶん遅い感想アップになってしまいましたが、観てきました。

演劇集団キャラメルボックス
『スケッチブック・ボイジャー』
アポロチーム
2005・9・24 17:00~
in シアターBRAVA!

劇団創立20周年記念公演第3弾ということで、これも昔の作品の再々再々演くらい…かな?
人気の作品なんでしょうね、きっと。
もう何回も上演されている演目。
わたしも10代の時に一度観ました。
キャスティングは覚えていないのですが、とにかくおもしろくて、田舎の高校演劇部員だったわたしは、
「演劇でこんなのアリなんだ!?」
と、思った記憶があります。
今にして思えば、わたしが何も知らなかったからにすぎないんだけれど。笑
ザッツ・エンターテインメント!って、感じですね。
まあ、楽しんでください!って、感じの作品。

今回は、キャスティングが2種類あって、アポロチームとジェミニチームに別れての上演。
稽古場確保とか大変だったんじゃないのかな~と、いらん心配をしてしまうわたし。
わたしはアポロチームを観てきました。
岡田達也さんと大内厚雄さんが出てるから。
そんだけの理由ですみません。
両チームとも演出が全然違うそうなので、見比べた方がいいんでしょうが、そう何度も遠出をするわけにもいかないので断念。おそらく、ジェミニチームの方は、大ベテランの西川浩幸さんが出ていらっしゃるので、おとなな感じの作品に仕上がっていたのではと、予想しています。

劇場に着くと、いつも思うけれど、キャラメルのお客さんてお行儀がいいなあ。
こんなに人が大勢ロビーにいるのに静か。
グッズ売り場に、今日は出演しないジェミニチームの役者さんたちが売り子で出ていてもキャーキャー騒がない。
わたしなんかよく分かってないから、
「え?役者さんにすごい似てるけど、あれはスタッフさんなのかな?」
って、思ってしまうくらい客の反応が静か。
ちょっとくらいキャーキャーした方が礼儀かもよ、とか思うわたし。笑
そういうわけではないのかしら…。
キャラメルの有名な制作の加藤昌史さんもポスター販売をしている。
役者よりも、この人の周囲の方が客のたかりが多くてウケる。

ところで、パンフレットを買った時に、プレミアチケットの半券を頂いたのですが、これって何かしなきゃもらえなかったんじゃないだろうか…。
今回はサッカーの話しだから、何かユニフォームを着て行った人とか、そういうんじゃなきゃダメだったような…?
わたし、普通にジャケットとスカートなんですけれども。何かのコスプレと勘違いされてたんならイヤだなあ。
それとも、入場何百人目とかだったのかな…?
何か秘密のキーワードでも口にしちゃったのかしら、わたし…?
でも、普通に「パンフレット1部下さい」としか言ってないしなぁ。
売り子のお兄さんが満面の笑顔で、「よろしければ、お使い下さい」って。
まあ、普通にチケット買ったんじゃあ手に入らないチケットだから、素直にうれしいので、ありがたく頂きました。
どんな理由で頂けたのかが謎のままで気になるのですが…、ご存じの方おられたら教えて下さい。

ストーリーは、
火星のお姫様や宇宙海賊、それに宇宙刑事が大活躍するSFマンガ『流星ナイト』の世界と、
その作者、少女マンガ家のはらと担当編集者の諸星の世界とが交錯しあうヒューマンドラマ…かな。
のはらの描くマンガが劇中劇で演じられていき、やがて現実世界にいたはずの諸星が、そのマンガに登場しはじめたりして、展開の早いキャラメル芝居の中でも、さらにさらに展開早い!って、感じです。
うかうかしてると置いてかれる。

マンガ家のはら(坂口理恵)は、今日が最終回〆切というのに、原稿を一枚もあげていない。
それを知った諸星(大内厚雄)は、意地でも明日の朝までに50枚(!)描かせる!と、息巻く。
(一晩で50枚…。死ぬ…。涙)
タイムリミットは12時間。
なのに、のはらは爆弾発言。
「描けるわけないのよ。わたしは絵だけ描いてたの、物語は他の人が描いてたのよ」
担当編集者すら知らなかった新事実。
諸星ショック!
物語を作っていたのは、のはらの姉の夫。
そんな姉夫妻は新婚旅行中。
諸星は決意する、「ぼくも物語に協力するから、一緒に頑張りましょう!」

一方、マンガの世界の主人公カケル(畑中智行)は、火星の羊飼い。
けれど、宝くじで大金を当て、地球の土地の3分の1を買う。
「サッカーをするために!」
にわかに地球の王様になったカケルに、火星の王女・夕顔(前田綾)が結婚しろと追いかけ回す。それに付き従うとぼけた爺やの三太夫(山田幸伸)。
同じくカケルの財産目当てに追い回す宇宙海賊のジャコウ(岡田さつき)と、マサムネ(多田直人)。そして、それを対海賊課の刑事ヤマアラシ(中村恵子)と、ダイゴ(岡田達也)が、追いかける。

ここに、男女のペアが4組登場するという趣向。
のはらと諸星
カケルと夕顔
ジャコウとマサムネ
ヤマアラシとダイゴ
SF冒険活劇ではあるけれど、少女マンガ家のはらは彼らの恋愛を模様も描きたい。
なぜならば、のはらにとって、カケルは初恋の人(姉の夫)が、モデル。
そして、夕顔はその初恋の人を奪った憎い姉。
決して2人を結婚させるラストにはもっていきたくないのだ。
かくして、マンガの中で夕顔はどんどん悪い女へと仕立てられていき、夕顔贔屓の諸星と衝突する。
しかし、ついに夕顔姫は、己の保身のために、刑事のヤマアラシを撃ち殺す。
刑事という仲間意識以上の感情をヤマアラシに抱いていたダイゴは、怒りと哀しみのあまり暴走。
楽しいSFマンガのはずが、どんどんと泥沼化してくる。

この泥沼化と、のはらの精神的なバランスが狂ってきた今、果たして明日の朝までの〆切に間に合うのか!
さー、どうなる『流星ナイト』!

ってな、感じです。
でも、キャラメルボックスだから、ちゃんと爽やかなラストシーンにつながっていくようになっています。
ラストに、ボールを使わないでみんながサッカーをするシーンは、本当にさわやか。
この場面のためだけに、もっと広いステージで演じられたらいいのにと、思った。
スポーツものって、ラストにこういう「おいしい場面」が持ってこれていいなあ。笑
『ウォーターボーイズ』のラストシーンとかみたいなもんだな~。

ちなみに、パンフレットには役者の西川浩幸さんと元浦和レッズの選手、福田正博さんとの対談が載っていた。
サッカーの話しという事だからなんでしょうけれども、何を隠そう、わたしの妹は大の浦和レッズファン。
サッカー観戦で埼玉へしょっちゅう行っているような人です。
しかも!福田正博さんの大ファン!一緒に撮った写真とサインが宝物、みたいな人なのです。
家に帰ってからパンフレットを見せてあげたら、大興奮でした。
良い事をした。笑

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2005年10月 1日 (土)

『旬の演劇をつくる10人/社団法人日本劇団協議会』(あづき)

今さっき、携帯電話が鳴った。
♪俺の俺の俺の噺を聞け~
あ。着うた、まだクレイジーケンバンドのままだ。
まあ、いいや。
着信名を見ると、すーっごくお久しぶりな栃木の友人。
わーい。ゆ●りちゃんだ。何だろう。

「もしもし~」
「…」
「もしもし~?」
「…」
「もしもし!?」
「…スー(何か鼻をすすっているような音)」
「もしもし!?もしもし!?」
「スー ズー ジュルー」
ブチ…ツーツーツーツーツー…

え!?
どうしたの!?ゆ●りちゃん!どうしたの!!!
泣いてるの!?
一瞬の間に、ゆ●りちゃんの身に起きたであろう事件や事故やら病やらを怒濤のように想像してしまって、どきどきしてくる。電話をかけ直しても、留守番電話につながってしまう。
どうしよう、ゆ●りちゃんに何かあったんじゃあ…
何度かかけなおしていると、やっと本人の声がした。
前のめり気味で「もしもし!!!どうしたん!?だいじょうぶ!?」と言うわたし。
ところが相手は「え~何~?久しぶりだね~、何か用~?」と、いたってのんびり。

結局、ゆ●りちゃんのかわゆい息子(1歳半)が、勝手に携帯電話をいじっているうちにわたしにかかってしまったというオチでした。
良かった。身代金要求電話とかじゃなくて。
…ってゆうか、本当に誘拐の電話なら、わたしになんかかかってこないよ。
ダンナにかけるよ。笑
いやはや、オレオレ詐欺に引っかかる瞬間の精神状態ってこういう事なのかも。
まあ、そのおかげですごく久しぶりな友だちと30分ほど話せたので楽しかった。
かわゆい坊やよ、ありがとう!
でっかくなる前に会いたいよ。

*******

前置き長ッ。

『旬の演劇を~』は、インタビュー集で、いのうえひでのり、永井愛、中村勘九郎、野村萬斎、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、大竹しのぶ、坂手洋二、マキノノゾミ、宮田慶子、鵜山仁というそうそうたるメンバー。
まさに旬の演劇をつくる10人。
この方々の演出・出演作品を、田舎に住むわたしですら、劇場なりビデオなりテレビ中継なりで、だいたい観てるという事は、本当に第一線で活躍されてるんだな~と、改めて思った。
これ、第2弾だそうなので、1を探し中。
3弾は出るのかな?
3弾には、それこそ松尾スズキとか宮藤官九郎とか出てきそう。

タレント本ではなくて、かなり真剣にみんなが現在の演劇事情を語っている。
その真摯な態度と、厳しさと、それでもやっぱり演劇を好きなんだという感じがよく出ていて、どんなにひねくれた作品を作っている人の中にもピュアなものがあるんだな~と、さらにこの人たちが好きになったかも。
ホント、食えなくてもいいや…って、ちょっと思ってるでしょあなたって思うようなピュアさ満載。
自分の演劇の方法論とか、今までの作品の解説とか、劇団運営の難しさと喜びとか、あとは「国」レベルでの演劇というジャンルの存在の話しとか、観客を育てなければならないという話しとか、本当に興味深かった。

国立劇場の在り方なんか、、新劇の人と小劇場出身の人やアングラの人の違いなんかなくて、だいたいみんなが同じような危機感と価値とを見出していたりして、おもしろかった。
もう今は、新劇とか小劇場とか分けて考えること事態がナンセンスなんだと理解した。

読んでて感じた事は、やっぱり日本で芝居で食って行く事は本当に難しい事ったらないんだよ、ってな事。
思えば、音楽や小説は小学生でも触れる機会はたくさんあるけれど、演劇って、たいがいの子どもにとっては、年に一度の校内芸術鑑賞会くらいじゃないのかなあ?
しかも、予算の関係なんだろうけれど、ものすごく微妙な感じの劇団が来るし…。
え?田舎の学校だけかなあ?
私立とかだと、クラス全員で劇場に足運んだりするんですかね?
そうだったらうらやましいな~。
わたしが小中学生の頃に観たいくつかのお芝居は、何だか劇団研究生の場慣れの舞台に使われてたような気がしたし…。もちろん、2回ほどはちゃんと楽しめる作品が来ましたが。

でも、わたしが高校の演劇部にいた時は、わたしらが小学校に公演しに回ってたもん。
わたしたちは、授業休めるし好きな芝居できるし、で、楽しかったけれど、実際問題、小学生たちは楽しかったんだろうか…。笑
ステージから飛びおりた時に、「あ。パンツ見えた」とか言われたから、それなりに楽しんでくれてたのか。笑
その程度か。笑

でも、一番「は?」って思った事は、劇団の人と中学の演劇部員とが共演する機会があって、演目は「走れメロス」だったんだけれど、学校側が「制服以外を着てはいけない」っつって、学ランとセーラー服着て「走れメロス」演った事かも…。ものすごいシュール。
劇団の人たちも、きっと「はぁ!?」って、思ったと思うよ。

その点では、わたしは親にすごく感謝しているかもしれない。
本当にうちの親は親ばかだな~と思うんだけれど、とにかく「子どもには小さい頃から本物に触れさせたい」って事で、毎月何かのお芝居か、コンサートに連れて行ってくれていた。
本当に贅沢もんでした。そのツケが今まわってきているとは思うんだけれども…。
つくづく、わたしは甘やかされて育ったんだなあと恥ずかしいと同時に、でもありがたい事だと思う。
それは絶対に自分の血肉になっているはずだし。
生かすか殺すかは自分次第だけれど。

脱線した。だから、そう。
何かまだまだ社会的に認知された表現方法じゃないんだねって思った。
この10人のプロの人たちも、その現状をどう変えていくかについては、本当にまだ試行錯誤の最中なんだという感じを受けた。でも、絶対にあきらめないぞ!という気概も大いに感じ取れた。
頼もしい!
観客冥利に尽きる!

個人的には、いのうえひでのりさんがどう発展していくのか、すごく楽しみになった。
今、東京公演が始まったばかりの、いのうえさんの「吉原御免状」。
古いファンからは賛否両論らしい。
でも、他のものもそうだろうけれど、演劇って常に変化し続けて当たり前のものだと思うから、全く演出方法も劇団としての在り方も変化しないよりは絶対にいいと思う。
「変わらない」という事は、ファンとしては安心感があるし、居心地いいかもしれないけれど、でも絶対に「それ以上」にもならないと思う。
わたしは好きな人や作品は、常に変化し続けていて欲しいと思う。
まあ、単純に言えば、だってずーっと同じだと「飽きる」じゃん。ってのも、あるし。ははは。
でも、全てがわたしの好きじゃないものに変わったように見えていても、実は根っこの部分はそう変わるものでもないと思う。その根っこ部分を信用できれば、あとはもうどうにでも好きにして下さいと思う。

大好きな鴻上さんの作品も、10年前のものを今観ると、けっこう「ん?」って思う。
でも、当時はそれが最先端だったんだし、芝居は「ナマモノ」だという事がよく分かっておもしろい。
変化してなんぼかも。かなり変わった今も、やっぱり良いものは良い。それだけ。

5年後にはもっとすごい演出方法が出てくる可能性は高いかも…なんて思うと、もっともっと変化していってわたしたちを楽しませて!と、一観客として思うのでした。
しんどいでしょね。

お芝居好きの方、このインタビュー集、けっこうオススメです。
わたしの白熱ぶりでもお分かり頂けるでしょうが、インタビューされている10人皆さまもけっこう熱く語っています(サンドロヴィッチ氏以外)。
んでもって、大竹しのぶさんは、インタビューの文字読んだだけでもかわいいなぁ。
何だろ、この人のこのかわいさは。

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2005年9月19日 (月)

「キャンディーズ」 G2プロデュース

2005年4月9日 下北沢本多劇場
作・演出:G2 
出演:須藤理沙・長谷川朝晴・久保酎吉 他
(BS2にて19日放送)

オープニングを見そびれたのだけれど、夜中に何げなくつけたら放送していた。
須藤理沙でかいな~なんて思いながら見ているうちに、だんだん引き込まれていった。

時代は、昭和10年代と30年代を行ったりきたりする。
舞台は、小さな石鹸工場。

主演の須藤理沙は、2人の女性を時代を超えて演じる。
昭和10年代では、社長の姪で、事務員の美千子。
昭和30年代では、社長の娘の美雪。

場面が暗転もなしに、特別な小道具や大道具の転換もなしに何度も時代を行ったりきたりするので、集中力が必要だ。
その時間軸の法則は、注意していれば見つかる。

向島石鹸は、手作りと素材の良さで細々とではあるが戦前、戦中を乗り越えて操業し続けてきた。
しかし、時代は高度経済成長に入り、家電製品がどんどん売れるようになり、洗濯機を持つ家庭が増え、洗濯石鹸の需要が激減。
社長の立花(山西 惇)は、小さな工場をつぶし、跡地に化学物質を配合した大量生産工場を建てる計画を進めていた。機械化にともない、人手も少なくてすむのでリストラも確実だ。

工場の昼休み、工員たちが昼ご飯を食べに外に出ている時、仕事が遅く一人残されている棚田しじみ(新谷真弓)のもとへ、女学生時代の友人でもあり社長の娘でもある美雪(須藤理沙)が訪れる。
美雪は、一枚の写真を持って来ていた。そこには、若い男女の姿が。
男は知らない人なのに、なぜか美雪の心をふるわせる。
そして、隣に立つ女は美雪にそっくりだ。
しじみに写真を見せると、
「この男の人は、ここの工場で働いている渡部さんだよ」
と、教えてくる。
美雪は、父の決めた婚約者である君島専務(木下政治)と何とか仲良くなろうと努力しているのだが、どうしても気持ちがすすまない。君嶋は美雪を大切にしてくれているのだが、美雪は写真の男が気になって仕方がない。
それで、友人しじみに胸の内を打ち明けに来たのだった。

そこへ、昼食のパンを買った渡部伸一(長谷川朝晴)が戻って来る。
渡部は美雪を遅刻した新人工員だと思い、「これだから女学校出の腰掛けお嬢様は」と、バカにする。
写真の中の男が現実に現れて、いきなり暴言を浴びせたので、美雪も負けじと言い返す。
「ここの石鹸を今日中に袋詰めして出荷できたら、その言葉を撤回して下さい!」
社長令嬢のはずの美雪が、いつしか作業服に着替え、工員となり働き始める。

やがて、工場の閉鎖が確実で、工員たちも大幅に削減されると分かると、美雪は「労組」を作る事を工員たちに提案し、自ら率先して労組のリーダになっていく。
しかし、渡部だけは、労組には入ろうとしない。
彼は、先輩職人の作った石鹸「牛若丸」しか作りたくないと言う。
工場が機械化されて、上質な石鹸を作る事ができなくなるのなら、石鹸職人をやめるとまで言う。
かたくなな態度の渡部に、美雪は怒る。
「女学校出だってバカにしといて、あなたは労組で闘いもせずにおめおめと石鹸職人をやめるのね!見損なったわ!弱虫!」
しかし、渡部はそんな挑発には乗らず、冷淡な態度をとり続ける。
先輩工員の浜田(陰山 泰)が、美雪をなだめる。
「渡部は、牛若丸にこだわりがあるんだよ。彼と社長の間に何があったのかは知らない。だから、彼の好きにさせてやってくれ」

昭和10年代、集団就職で工場に就職した渡部は、まだ10代の少年だった。
石鹸作りを学ぶのもせいいっぱいだが、何とか手に職をつけ、一人前になりたいと一生懸命働く若者だった。
ライバルで、何ごとにも要領のいい永井正人(草野徹)には仕事にも恋にも、いつも遅れをとっていた。
事務社員の美千代(須藤理沙・2役)の事が好きだけれど、なかなか気持ちを言い出せないうちに、永井に取られてしまったりする。
だが、真面目な働きぶりだけは頑固な石鹸職人柴田新吉(久保酎吉)には認められていた。
やがて、向島石鹸の質の良さが認められ、皇室から発注が来る。
工場にとっては、一世一代の大仕事だ。
失敗は絶対に許されない。
純度の高い石鹸を作るためのオリーブ油を取り寄せて、職人柴田の徹夜仕事が続く。
無理がたたって、柴田が倒れ、渡部を徹夜の仕事を任される。
しかしその夜、美千代がやってきて、
「永井さんに求婚されているんだけれど、わたしは本当は渡部さんが好き。でも、永井さんは余命1年だって言うの。わたし、どうしたらいいの」
と、泣く。
観客には、「余命1年」が永井の嘘だということは分かるのだが、バカ正直な渡部と美千代には見抜けない。
渡部は、徹夜仕事を放り出し、美千代を抱いしまう。
石鹸は出荷できるようなものではなくなり、工場の信用はがた落ち、職人の柴田も死に、美千代は気の病に倒れる。

渡部にとって「牛若丸」を作り続ける事が、柴田や美千代への贖罪だった。
しかし、美千代にそっくりな美雪が工場に現れる事で、彼の心は揺れ始める。
かたくなに心を閉ざして生きてきた彼が、美雪に惹かれていく。
若い美雪は、渡部の過去を知らずに無邪気に、そして時にはシビアな事を言い放つ。
やがて、真実を知っていく美雪の心に小さな決心が生まれる。

レトロなお話しといえば、そう。
しかし、G2さんの悪趣味ギリギリの演出で、ただのメロドラマから脱出していて、怖いもの見たさのようなゾクゾク感が得られる不気味な感じに仕上がっている。

役者陣も、小劇場の人気者さんたちを集めているので、役者を見る楽しみもかなりある。
しじみ役の新井真弓さんのへんてこりんな可愛さは、相変わらず。w
渡部役の長谷川朝晴さんは、初めて見る役者なのだけれど、すごく素敵だった。
そんなにハンサムじゃないんだけれど、たたずまいがいい感じだった。
若い時の一途な青年の姿と、40代近くなっても自分を許せていない陰のある男の演じ分けがセクシー。

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2005年9月 6日 (火)

オセロー

グローブ座カンパニー・1999年上演・演出/山崎清介・出演/吉田鋼太郎、彩乃木崇之 他

BS2で放送していたものを録画観賞。この一ヶ月に何度か深夜放送する演劇番組は、けっこうマニアックで楽しいです。舞台をまるまる放送する事は当然として、その前に30分くらい延々とゲストのインタビューがあるのです。ものすごく地味な番組です。でも、演劇ファンにはたまらない30分です。

司会は演出家の横内謙介さんと俳優の植本潤さん。きちんと資料をふまえてしゃべる横内さんの勉強熱心な姿と、ボーっとした感じの植本さんの変なコンビネーション。

今回のインタビューゲストは俳優の吉田鋼太郎さん。植本潤いわく「王様役者」。別に威張っているからとかそういう事ではなく、37作ほどあると言われているシェイクスピア作品の30作に出演(!)し、ほぼ王様役がまわってきているという意味です。

このグローブ座カンパニーは、「子どものためのシェイクスピア」と銘打たれていて、子どもに分かりやすく演出されたもの。

以前、はじめてこの劇団の作品を観た時に、これは子どもどころかおとなも充分に楽しめる、古典の高い壁をぶち抜いた素敵なお芝居だと思いました。何という作品を観たのか定かでないのが残念。

子どものためとは言いながら、セリフをほとんど変えていないので、下品なセリフも装飾だらけのセリフもそのままだったりします。でも、観客席の子どもたちからは、ちゃんと楽しめている様子が伝わってきます。観客を巻き込んだ楽しい演出もあったりして、観客としての基本的な楽しみ方を思い出させてくれます。

子どもにわかりやすく…と言いながらも、基本的にはモノトーンの色彩で、音響も最小限、俳優の手拍子で心情表現をしたり、コロスをふんだんに使ったなかなかオシャレな演出なのです。

「子どものため」ではあるけれど、決してそれは「子ども向け」なだけではなく、おとなの肥えた目にも充分に耐えうる作品である事。むしろ、「子どもにも提供できる作品」であるという感じです。この劇団の姿勢が、とても児童文学に似ているな~と、いつも感じます。

この劇団の彩乃木崇之さんという俳優さんは、わたしが熱血演劇少女だった頃、部活のOBさんだったので、演技指導に来られた事があります。いや、特に演技指導のためではないけれど、地元に帰省した際にちょっと演劇部の練習を覗きに来たと言った方が正しかったのでしょう。プロの俳優さんの演劇論とか、演技への情熱とか、稽古の仕方を初めてじかに聞けた事は、10代のわたしには、とても大切な出来事だったのを覚えています。彩乃木さんご本人はとっくに忘れているような些細な出来事だったのでしょうけれど。

それから、彩乃木さんがシェイクスピア一辺倒になられてからも、ちょくちょく舞台を拝見していて、この「子どものためのシェイクスピア」に出会ったというわけなのです。

古典は難しいからイヤだな~なんて思っている人には、オススメの劇団。この「オセロー」も、戯曲を読んでも泥沼だし、オセローも大した人じゃないし、何だかな~って感じなのですが、この舞台では、「王様役者」の吉田鋼太郎さんが、珍しく道化のイアーゴ役で、かなり愉快。悲劇なのに喜劇に観えてくる。主役はイアーゴです。

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2005年9月 3日 (土)

宣伝しとくか。

来る9月24日・25日に、大阪のでんでんタウンにあるin→dependent theatre 2ndという小劇場にて、ファッションショーが開催されます。

この劇場がプロデュースしたベントで、昨年は「極~kiwami~」で話題をさらった…らしい。観てないから知らない…。

関西小劇場界で活躍する5人の舞台衣装デザイナーによるファッションショー。演出も小劇場で活躍する方々の手によるもの。モデルも、小劇場界で活躍する役者やパフォーマー。劇団そとばこまち、シアターシンクタンク万化、石原正一ショー、売込隊ビームetc…

あくびの昔の劇団仲間もモデルで出ます。興味のある方もない方も、芝居にはちょっと抵抗あるな…っていう方も、ファッションショーなら垣根はかなり低いんじゃないでしょうか。

5人のデザイナーのそれぞれのショーと、ダンテの「神曲」を共通テーマにしたショーの2本立て。合間には音響さんによるDJタイムもあり、チケットにはもれなくドリンクチケット付。クラブに遊びに行く感覚で小劇場という独特の空間を楽しめそう。

チケットはぴあやら、劇場やらコンビニやらでお取り扱いしておるようです。

あくびも足を運ぼうかなとは思っています。前日にはキャラメルボックスの「スケッチブックボイジャー」も観ます。またもや劇場のハシゴ…。遊んでばかりいるように思われると困っちゃうが、ブログに楽しくないことを書いても仕方がないしね!

「Body & Clothes~舞台衣装デザイナーによるファッションショー~」

日時 2005/9/24(sat)19:00~ ・ 9/25(sun)13:00~・18:00~

場所 in→dependent theatre 2nd(インデペンデントシアターセカンド)地下鉄堺筋線恵美須町駅1A出口より北約5分。(という事は、確実に5分以上はかかるという事だね、きっと!)

前売・当日券共¥2000(ワンドリンクチケット付)

そんな感じで宣伝しといたよ(誰に向かって言っているのか)。

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2005年8月 8日 (月)

キレイ~神様と待ち合わせした女~

2005/8/7 inシアターBRAVA!

松尾スズキ作・演出の舞台を観てきました。

5年前の初演を観た時、わたしはあまりの感動に号泣しました。化粧もハゲハゲでそりゃあもう大変な事態になりました。今年、再演されると知ってチケットを速攻で手に入れました。

物語の舞台は、日本。けれど、ここは誰もが知る日本ではなく、他民族国家に分裂し、常に内乱の起きている日本である。若者たちはどんどん徴兵されていき、街には女子どもや兵士にはなれない男たちだけが残され、大豆で出来た大豆兵の死体を回収し、缶詰に加工し直して生計を立てていた。

そんな回収業社の一つ、カネコキネコ(片桐はいり)率いるカネコ組のもとへ、一人の薄汚れた少女が現れる。少女は全ての記憶をなくしていたが、名を聞かれ、自らを「ケガレ」(鈴木蘭々)だと名乗った。ケガレを仲間に入れる事を拒否するキネコであったが、幼い息子のハリコナ(阿部サダヲ)が、少女を気に入った様子なので仲間に入れてやる。そして、ケガレも、死体回収をして生きていく事になる。

キネコたちの中で暮らすうち、ケガレは過去の記憶を思い出していく。自分が民族解放軍を名乗る3人組(宮藤官九郎・皆川猿時・猫背椿)に誘拐され10年もの間、地下に監禁されていた事。そして、そこで何が行われていたのかという事。自らをケガレだと思うようになった経緯。そして、彼女が「神様」と呼んでいる忌まわしい視線の正体。

一人の女性の姿を、少女時代のケガレと成人したミサ(高岡早紀)を通して演じられていく。誘拐監禁され暴行を受け続けた少女が、必死に自らの過去を忘れようとし、生まれ変わろうともがく姿が、松尾スズキの不思議な世界観で描かれている。ものすごく、ハードで重い芝居なのだけれど、ものすごく優しい許しの芝居のような気がする。

ケガレは、生きるためにケガレた。けれど、生きているだけでお前はキレイなんだよと、登場人物たちは、自らを肯定し、他人をも肯定し続ける。月並みな事なのかもしれないけれど、そこまで自己肯定する事は、ましてや、他人の視点で肯定される事はなかなか難しい。その絶対に見捨てない優しい姿は一体なんだろう。例えて言うならば、お母さんみたいな存在。この舞台では、カネコ組のキネコが、そのお母さんのような存在かもしれない。

ものすごく切ないんだけれど、それでも、この舞台には希望が溢れていました。

何よりも、わたしには作者の松尾スズキさんがお母さんみたいって思ってしまった。男の人なんだけど、考え方がすごくお母さんっぽい。笑

再演でキャスティングも大幅に変わっていた。初演よりも、演出が洗練されているし、無駄なものが何一つなくてすごく猥雑なのにすごく綺麗な舞台だった。役者のハマり方も良かったと感じた。ほぼ完成形だと思った。再演をした意味がすごくあった作品なんじゃないかなぁなんて、生意気にも感じたのでした。

特に良かったのは、初演時ではハリコナの盲目の兄ジュッテンを演じていた宮藤官九郎が、今回は少女を誘拐監禁した犯人マジシャンの役になっていた事。クドカンにとっては、多分、初めての悪役だったんじゃないだろうか。失礼ながら「出来るの?」なんて思っていました。過小評価もいいところ。すごく良かった!ただの悪役じゃなく、人間の哀しさ弱さを内に秘めた悪役で、すごく卑劣な犯人なんだけれど、どこか憎みきれず、何とかこの人に別の道を教えてあげられたら…と、思わせてくれるような切ない男を演じていた。

それから、ハリコナの青年時代を演じた岡本健一さんもすごく良かった。この人の演技は初めて見たので、他にどんな役をやってらっしゃるのか分からないのだけれど、キザでうさんくさいマザコンで金の亡者な男前という屈折した役を、コミカルに演じていて素敵だった。ご本人のハンサム具合と相まって、かなりウケました。ハンサムがハンデにならない演技!すごい!

後は、もうハリコナ役の阿部サダヲさん。初演時と同じハリコナ少年の役。でも、この役はこの人以外やってほしくないくらいハマり役。おっさん(失礼!)なのに、子役が違和感ないこのキュートさは何なんだ…。でも、今回この役者さんが実はすっごく男前な役者だという事に気付いてビックリした。むしろ惚れた。かっこいいです。何がどこがどうとかじゃなくて、多分、もう役者としてかっこいいんでしょう。真摯な感じ。

おまけ…初演時、ムカつくほど大根役者だった荒川良々くんがかなり上手くなっててびっくり。5年という歳月はすごい!ちゃんと精進すれば上手くなるんだ!ホント、言いたい放題でごめんなさい。

大阪公演は、まだ少し期間が残っているので、ぜひ会場へ足を運んでみて下さいませ。近年まれにみる感動作の一つである事は絶対に間違いないです。こういう舞台に何年かに一度出会える事が、観劇趣味の楽しみなのかもしれません。

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